柳朝の「不動坊火焔」2010/05/30 08:11

 柳朝、朝之助(ちょうのすけ)から翌年3月真打昇進して大名跡の柳朝を襲名 するという2006年の8月、「武助馬」を演ったのを、「その名跡を継がせても らえるだけあって、なかなかいい」と褒めていた。 だが、今回は駄目だった。  軽い、あまりにも軽い、耐えられないほどの軽さだ。 例の冷蔵庫のマクラで、 閻魔大王が「さぁー、調書を取りますよー」と言ったのに、それは端的に現わ れていた。

 大家が吉っつあんに身を固めないかと言う、ひと月ほど前、講釈師の不動坊 火焔が旅先で流行やまいでぽっくり死んだ。 女房のお滝さんと、借金が残っ た。 人間が真面目で、小金も貯めているという噂の吉っつあんに、借金とま とめて貰わないかという。 吉っつあんは喜ぶ、器量が良くて色白、いい声の お滝さん、長屋に来た三年前から「私のカカア」のつもりだった、と。 思い 立ったら吉日、今夜にもというので、吉っつあんは有頂天、鉄瓶を提げて湯へ 行く。 調子に乗って、湯の中でお滝さんを狙っていた長屋の連中、鍛治屋に、 披露目(ちんどん)屋、漉き返し屋の悪口を言ったからたまらない。 三人は 隣町に住む林家彦六の弟子、万年前座の林家牛(モー)六に頼んで、不動坊火 焔の幽霊になって長屋の引き窓から下がってもらう計略を練る。 しごきの三 尺と、焼酎火用のアルコールを用意してくれといわれ、アルコールを買いに行 ったのが、壜につめたアンコロを買って来て、アンコロも食いすぎると胸が焼 ける、と言う。 ウスドロ係の披露目屋は、チンチンドンドンとやる騒ぎ。

 柳朝の「不動坊火焔」、万年前座の林家牛六が下げられる時、噺家らしく「お 先に勉強させていただきます」と挨拶したのが、よかった程度で、初めに書い た通り、あまりにも軽いのだった。

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