桂宮治の「反対俥」2015/06/02 06:36

 5月29日は、第563回の落語研究会だった。 半蔵門の駅を出ると、小雨 が降っていた。 きんつばの一元屋に寄って、いつもの天婦羅屋へ行く。

「反対俥」    桂 宮治

「紋三郎稲荷」  三遊亭 司

「三枚起請」   古今亭 志ん輔

      仲入

「稲川」     三遊亭 歌武蔵

「へっつい幽霊」 柳家 権太楼

 桂宮治がニコヤカに走って登場すると、「戸越銀座!」と声がかかった。 9 割9分が落語協会贔屓の落語研究会で、落語芸術協会の二ッ目の住んでいる所 を知っている方がいるのは有難い、20分だけの我慢を、と。 パソコンのユー チューブで見た桂枝雀で落語の面白さを知り、結婚式の当日に入門したそうだ。

先日、落語研究会よりも素敵な所で噺をした。 三軒茶屋から行く昭和女子 大学、その昭和女子大学のキャンパスに人見記念講堂という2000人は入ると ころに1900人ぐらいの女子大生がいるんだから、天国のよう。 レポートを 出せば、単位になるてんで、集中して聴いている。 お花畑のような18から 20そこそこの女子大生が、袖口をポンポンとやると、柔軟剤の中に入っている フレグランスが、いっぱいに満ちて、漂って来る。 今日は、お線香の匂いが する。

 明治大正の乗り物に、人力車があった。 人の足、街の足。 上野から汽車 に乗る男、車屋に声をかける。 何です。 客だ、上野までやってくれ。 ハ フ、ハフ、ゲッ(吐きそうになる)。 大丈夫か。 今日は一番体調がいい。 な んだ、車もボロボロだな。 勢いよく乗らないで下さい、バラバラになる。 お 尻のところにバネが出てますから、気を付けて。 英語で、スプリング・ハズ・ カム。 ハフッ、ハフッ、無理だよ。 今、何か言ったか、梶棒が上らないの か。 重心を後ろに行くようにして下さい。 (客がそうすると、引っくり返 りそうになる。) 行きますよ! 行きますよ!(右、左と、向きを変えるが、 進まない。) 花魁道中か? よじれるよ。 だめだな、こりゃ。 昨日まで入 院してたんで、銭がなくなった、今日4時から手術の予定で、ハフッ、ハフッ。  あっ、口から赤いものが出た。 さっき飲んだ、トマトジュース。 上野まで どのくらいかかる。 二日。 降りるよ、何、手を出して? まだ、動いてな い。 いいよ、病院代じゃなくて、お経を上げてもらいな。

 つぎに乗ったのが、威勢のいい車屋。 一瀉千里虎の子はがし(?)、ソラソ レー、ソラソレー、音速の貴公子。 今、どうした? ドラム缶を飛び越えた。  落語研究会の客は笑わないから、もう一度、飛ぶか。 目の前に、土手がある ぞ。 ドーーン。 山と緑だ、ここはどこだ? 福島県の郡山。 以前、法事 で来たことがある。 上野の駅までと頼んだはずだと、またソラソレー、ソラ ソレー、と走る。 上野です。 間に合ったよ、ハイ車賃。 これから、どち らへ? 今から急いで、福島県の郡山まで行かなきゃあいけない。

 桂宮治は、脱いだ羽織で床の汗を拭く熱演だったが、からまわりして、枝雀 のように爆笑とはいかなかった。