市助改メ柳亭市童の「一目上り」2015/07/05 07:11

 『無私の日本人』、まだまだ書きたいことはあるが、落語は無視できない。  6月30日は、第564回の落語研究会だった。

「一目上り」    市助改メ 柳亭 市童

「五目講釈」         柳家 三三

「怪談乳房榎~おきせの危機」 柳家 小満ん

         仲入

「提灯屋」          柳家 小里ん

「大山詣り」         柳家 さん喬

 ついこの間まで、座布団をひっくりかえしていた柳亭市助、5月21日に二ツ 目に昇進して、市童になったと、黒紋付で登場、自分などで「御愁傷様です」 と言う。 固くなっているのか、早口で「一目上り」を始める。 一日、一度、 ご隠居さんの所へ来ないと、通じがつかない、と八五郎。 粗茶だが、と言わ れて、粗茶を連発する。 粗末なお茶と謙遜して、粗茶。 一斤いくら? じ ゃあ粗茶菓子、粗火鉢、粗ジジイ。 ハラ減ってるんで、天丼一つ。 羊羹を 切るか。 羊羹もいいが、十本も食うと、げんなりする。 みんなが、ご隠居 は何もしないでいい暮しをしている、「○○ぼう」じゃないかと噂している。 ○ ○ぼう? ドロボウ。 お前は、そんなことはないと言ってくれるんだろうな。  三年前に、きっぱりやめたよって。 若い頃は、毎日、真っ黒になって働いた。  炭屋だったんですか。 今はショガが好きだ。 寿司の横にある。 あれは生 姜。 書画を見ると、いい心持になる。

この絵は、笹の葉の塩漬け? 掛け物、雪折れ竹だな、「しなわるるだけはこ らえよ雪の竹」としてある。 おつな都々逸だね。 賛だ、けっこうな賛でご ざいますと褒めれば、みんなお前をたっとぶ。 かっこむ、お茶漬で。 噂は、 口に尊(たっと)ぶと書くな。 お前は、何と呼ばれている? 八っつあん、 ガラッ八、ガラガラ。 それが、八五郎殿、八五郎先生となるな。(この辺で、 早口おさまる)

大家さん、化け物、褒めるから出せ。 掛物だろう、そんな隠し芸があるの か。 字ばかりだね。 私が褒めるんだから、読んでくださいよ。 「近江(き んこう)の鷺は見がたく、遠樹の烏見易し」。 金公と延次のカカア、ハラがで かくなって、うなっている、けっこうな賛で。 賛じゃない、詩だ、根岸の亀 田鵬斎先生の詩だ。

お医者の先生、談判したい。 ご恩返しに風邪でも引こうかと思うが、因果 と丈夫で。 掛け物を見せて下さい。 掛け物にご執心か? 宗旨は法華。 い ささか大幅だ。 中は白餡。 表装に出したばかりだ。 疱瘡だったんですか。  「仏は法を売り、祖師は仏を売り、末世の僧は祖師を売り、汝五尺の身体を売 って、一切衆生の煩悩をやすむ。色即是空」。 けっこうな詩で。 詩じゃない、 悟。 一休禅師悟りの悟だ。 そうか、一目っつ、上がってるんだ。

留公んちへ行こう。 あるわけないよな、掛け物。 あるよ、伯父さんが正 月にかけてくれって。 船におじさんが乗っている絵だな。 これは福禄寿。  百六十。 太った腹を出して袋を担いでいるのは? 唐土四明山金山寺の布袋 和尚だ。 モロコシと金山寺味噌を盗んだふてえ野郎だ。 弁天様、一人だけ 女で、よく間違いが起きねえ。 上から読んでも、下から読んでも「長き夜の  とをの眠りの 皆目覚め 波のり舟の 音のよきかな」。 いい六だな。 いや、 七福神だ。 横にある短冊は何だ? 古池や蛙飛びこむ水の音。 いい八だな。  いいや、芭蕉の句だ。

市童、どっしり落ち着いていて、まあまあの出来、期待できる。