三遊亭萬橘の「寄合酒」後半2019/02/28 07:07

 数の子持って来た。 高かったろう。 買えばね。 どこで? 角の乾物屋、 数の子に風呂敷を掛けて、大根くれって、言ったんだ。 親爺が、大根ならお 向いの八百屋だっていうから、ガッとつかんで、こうやって持って来た。

 カツオ節を二本。 高かったろ。 買えばね。 原っぱで、子供たちが鬼ご っこやってた。 入れてくれって言うと、入り鬼だって。 鬼をやるには、角 がなくっちゃいけない。 角の乾物屋の子にカツオ節を知ってるかといったら、 店へ行って、でけえカツオ節を二本、持って来たんだ。 それを頭につけて、 鬼だぁー! 鬼だぁー! みんな、怖い、怖いって、どこかに逃げて行っちゃ った。

 親分、これ持って来た。 やめろ。 干し椎茸だ。 角の乾物屋に行ったら、 親爺が居眠りしていた。 それで兄貴、これ盗んできた。 言葉に気を付けろ。

与太郎か、何を持って来た。 お味噌を持って来た。 味噌、買ったのか?  いいや。 ウチから持って来たのか? 拾って来た、裏の原っぱで。 そりゃ 違うもんだ、味噌じゃない。 窓を開けろ。 そっと、置け。 棒、持って来 い。 銀紙をはがして(つついて、臭いを嗅ぐ)。 わからない、食うしかない。  (こわごわなめて)味噌です。 原っぱのどこにあった? お醤油やなんかと 一緒に、自転車のカゴに。 どこの家の自転車だ? 角の乾物屋の自転車。 乾 物屋、潰れちゃうぞ。

七輪に火が熾きない。 木の切れ端も、新聞紙も、炭も、ちゃんと入れたの に。 念のために聞くが、火を点けて、中に入れたか? 入れてない。 お前 も、後ろで見ていて、教えてやらなかったのか。 こいつは器用だから、火を 点けなくてもできるのかと思って。

鯛をおろすんだが、足元の犬がうるさい、生意気だ。 (遠くにいる奴が) 食らわせろ! 食らわせろ! 食らえ!こら! 行っちゃったか? ここにい るよ。 しつこい犬だ。 頭のとこ、ガーーンと! どうだ!こら! 行っち ゃったか? まだ、ここにいる。 胴中、食らわしてやれ! どうだ!こら!  無くなっちゃったよ。 お亡くなりになるよ、死ぬ。 犬、行っちゃったよ。  鯛、持って来い。 一緒に、行っちゃった。 ないのか? だって、食らわせ るんだろ。 拳固だ。 ウロコ、残っているから、食うか? そんなもん、食 えるか。

数の子、一つ一つバラバラにして、砂山みたいになってるぞ。 出汁は取れ たか。 ザルにいっぱい取れたよ。 これは、出汁ガラだ、お湯はどうした。  捨てたのか? 捨てたんじゃない、桶に入れて、表に出しておいたら、表の犬 が飲んでいた。 鯛を食った犬だ。 どこの犬だ? 角の乾物屋の犬だ。

 萬橘の「寄合酒」、爆笑だった。

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