「銀座の老舗のうなぎ屋」 ― 2026/08/27 07:12

 3月に家内と東銀座の画廊に友人の写真展を見に行き、どこかで昼飯をということになって、五丁目の竹葉亭に行った。 私は鯛茶、家内は幕の内弁当にして、味はもちろん、落ち着いた老舗らしい雰囲気とサービスに、満足した。 脱線するが、先日幕の内弁当について、崎陽軒がシウマイ弁当の値段を維持するために、鶏肉をエビチリに変更したとかいうテレビの話題で、「幕の内弁当」は大相撲観戦で食べることと関係していて、小さなおむすび(小結)が中に入っているとか、言っていた。 これはどうも俗説で、「(芝居の幕間に食べたことから)胡麻をかけた小さな握り飯とおかずを詰め合わせた弁当。幕の内弁当。」と、『広辞苑』にある。

 実はこの時、竹葉亭で『銀座百点』をもらって来たことが、今回の掲載のきっかけになったのだが…(『銀座百点』8月号に「わたしの銀座」を書きました<小人閑居日記 2026.7.31.>。 竹葉亭では、私はいつも鰻重を食べる。 「銀座の老舗のうなぎ屋」が、竹葉亭とは書いていないが、文春文庫の銀座百点編『おしゃべりな銀座』に、小説家の乾ルカ(1970年、北海道生まれ)が「田舎者、銀座を歩く」(2015年10月号)に、面白い話を書いている。

 7、8年前、老両親と中年女(自分)の三人で、珍しく夕食に焼き肉をすることになった。 二種類の焼き肉のたれを用意し、なんとなくラベルを見た。 賞味期限が切れていた、それも派手に年単位で。 ぎょっとして、もう一つを見ると、2000年と印字されていた。 とにかく世紀をまたいでいる、前世紀の遺物だった。

 しかし、父は動じなかった。 「そんなもん、銀座の老舗のうなぎ屋なら、三百年も前から秘伝のたれを使っている」。 父の一言で、あっけないほどあっさりと事は収まった。 「ああ、なるほどな」と納得してしまったのだ。 三人で美味しくいただき、お腹もこわさなかった。

 ここで言いたいのは、『銀座』という言葉が持つ説得力には、並々ならぬものがある、『老舗』がつけばなおさら、田舎者をねじ伏せる一層の力を発揮する、ということだ。 生半可なことでは物事は続かない。 お店ともなれば、必ずや顧客からの信用、信頼がなくてはならない。 高級感あふれる立地で、信用、信頼を得ているところは、安心できる。 利用して間違いないと思える。