等々力短信 第1192号は…2025/06/25 07:26

<等々力短信 第1192号 2025(令和7).6.25.>小林一三の「平凡主義礼賛」 は、6月23日にアップしました。 6月23日をご覧ください。

CMの顔は、大河ドラマ・朝ドラの顔2025/06/25 07:12

 最近のCM、会社自体のPRなのか、何の会社だか、わからないものや、職業紹介関係が多いようだ。 職安、職業安定所、ハローワークは今、どうなっているのだろう。

 CMを見ていると、大河ドラマ・朝ドラで見ている顔が、しばしば出てくる。 「タウンワーク」は、『あんぱん』の今田美桜。 なにもやらないで、こっちを見ているだけで、最後にピースサインをするのや、歌が流れるのもある。

 「コミックシーモア」には、『べらぼう』の瀬川花魁、小芝風花。 そういえば、瀬川花魁を千四百両で身請け(落籍)した鳥山検校、市原隼人は赤と青の服を来て、楽天のフリマアプリ「楽天ラクマ」に出ている。 市原隼人、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で13人の一人、八田知家を演じていた。 北条と比企の対立が激しくなり、頼朝の異母弟の僧・阿野全成(新納慎也)は、りく(宮沢りえ)と北条時政(坂東彌十郎)に、次の鎌倉殿にと説得され、二人の依頼で二代鎌倉殿・源頼家を呪詛するが露見して、頼家の怒りを買い常陸に幽閉となる。 これを好機と見た比企能員(佐藤二朗)は、自分に反発し領地を取り上げた頼家を亡き者とすると同時に北条一族である全成を粛清するため、騙して全成に頼家に対する呪詛を再び行わせる。 回収漏れの呪詛人形が見つかり、全成は謀叛の罪で八田知家(市原隼人)に討ち取られるのだった。 義時(小栗旬)も鎌倉の秩序のため「北条がてっぺんに立つ」覚悟を決め、時政の館に能員をおびきだして騙し討ちし、比企の館を攻めて一族を滅ぼす。 義時は頼家の鎌倉追放を決意、頼家を修善寺に幽閉し、三代目鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)が誕生する。 『鎌倉殿の13人』に脱線したが、北条義時の小栗旬も「doda X」のCMで「高級な鍵」を渡している。 パーソルキャリア株式会社の転職サービスだそうだ。

「ダイフク」は何でも運ぶと聞いて、目を丸くしているのは、『べらぼう』の誰袖花魁、朝ドラ『舞いあがれ!』の福原遥(タクシー運転手は片桐仁)。 マテリアルハンドリングの会社だそうだ。 福原遥は「キリン一番搾り生」で、堤真一の娘になっている。 最初見た時、ずいぶん年の離れたカップルだと思った。

松前藩のオロシャとの密貿易、抜け荷の証拠を得れば、誰袖花魁を身請け(落籍)すると身分を明かす田沼意知の宮沢氷魚(ひお)は、「グローバルワーク」の「まちがいない服 リッチクリーンTee」で、去年の大河ドラマ『光る君へ』のまひろ、紫式部の吉高由里子と出ている。 宮沢氷魚は朝ドラ『ちむどんどん』、吉高由里子も朝ドラ『花子とアン』で見ていた。

閑居暇人、テレビばかり見ていることが、バレバレである。

心電図で「上室性期外収縮」2025/06/24 06:56

 かかりつけの内科のクリニックで、毎年受ける世田谷区の「長寿健診」を受けた。 幸い長い間、何の問題もなく過ごしていて、何も薬を飲んでいないのを、眼圧を下げる目薬をもらう薬局で、いつも珍しがられていた。 ただ検査項目では、尿酸値とLDL(悪玉)コレステロールの数値が標準値より若干高かった。 尿酸値については一度だけ、痛風の痛みが出て、粗食なのに不思議だと笑ったのだが、痛み止めを飲むとすぐに消えた。 コレステロールは、体質だろうということだった。 それでも、3年前の健診で、薬を飲むことを勧められてから、弱い薬を飲むことにしたのだった。

 そこで、今回の健診だが、心電図でちょっと違う動きが出た。 血液検査の結果の出る翌日に、循環器が専門の若先生にくわしい説明を聞くことにした。 結論は、「上室性期外収縮」というもので、まったく心配ないということだった。 心臓には、右と左の心房と心室、四つの部屋があると、図を描いて説明してくれた。 心房から通常より早いタイミングで電気信号が送られる不整脈なのだということで、基礎心疾患がなく、症状もなくて、頻度も多く無ければ、放置しておいてよいということだった。 安心した。

 なお、尿酸値とLDL(悪玉)コレステロールの数値は、基準値に収まっている。 薬は継続して、飲んでいる。

小林一三の「平凡主義礼賛」<等々力短信 第1192号 2025(令和7).6.25.>6/23発信2025/06/23 07:16

   小林一三の「平凡主義礼賛」<等々力短信 第1192号 2025(令和7).6.25.>

 『三田評論』6月号が通巻1300号記念号で、「三田評論と昭和100年」を特集している。 昭和になってまもなくの昭和3(1928)年11月号に掲載された、小林一三の「平凡主義礼賛」という慶應義塾大学最上学年の学生に対する講演が再録されている。 小林一三は塾員で、阪急東宝グループの創始者、電鉄を中心にした多角経営のモデルを創案した。 今年1月世田谷美術館の「東急 暮らしと街の文化―100年の時を拓く―」展を見て、小林一三が、渋沢栄一の田園都市株式会社の経営に参画しており、小林一三を通じて五島慶太がこの事業に協力し、それが今日の東急につながったことを知った。 それで改めて、阪田寛夫著『わが小林一三 清く正しく美しく』を読み、何日かのブログに、小林一三は三田の山から初めて海を見たか、三井銀行入行、大阪支店、名古屋支店での遊びぶり、79歳で明かした愛人との結婚の事情などを、綴ったのであった。

 さて、「平凡主義礼賛」である。 就職を東京でするか、大阪でするか、大阪だとこういう御利益があると、手前味噌の話から始める。 入社してくる連中に、平凡主義を鼓吹している。 毎日平凡に平凡に暮らす間に、一頭地を抜くと云うことの外に、名案はないと信じている。 大阪は民衆の大都会だが、すべてのリーダーが実業に興って、コツコツと仕上げた人である。 事業としての電気鉄道の経営は、将来は一般乗客の為に利益の大部分を犠牲に供すべきものだ。 毎日出入りする公衆に便利を与えて、そしてウマイ商売をして見たい。 ターミナルで老舗の大きなデパートメントを経営する計画だ。 民衆芸術論、大劇場論を東京でもやって見たい。 民衆相手の仕事を研究すればするほど、これからの世の中は平凡主義でなければならぬ。 私の会社に入ると、工学士、法学士、電気技師も、一遍は必ず車掌運転手をさせられる。 自らが平凡な民衆の一員となって働かねばならないということが、阪神急行のモットーである。

 具体的なアドバイスもある。 学校を出て会社に入ると、何も彼も新進の知識を得ているので、みな馬鹿に見える。 いろいろなことが馬鹿に見えるが、下らないことが諸君には分からない。 この時そこに共通の欠点が現れてくる。 誰にも聞かない、聞くのをいやがるのだ。 「聞くに越したことはない」。 「議論をしてはいけない」。 もし実行を伴わない議論ならば三文の値打ちもない空論である。 提案したのを、上役が自分の説にしたら、それを実行する。 それは福澤先生の「縁の下の力持は必要である」という教えに一致する。 これが一番成功の秘訣だと考える。 結局、実行せしめれば宜しい。 「盛んな時には行くな」「人の前では力(つと)めて敬語を使え、二人の中では言い度いことを言え」。 残念、この講演、就職する前に聞きたかった。

「夏服」と「草茂る」の句会2025/06/22 07:22

 朝ドラの『あんぱん』に関連して、梯(かけはし)久美子さんの『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文春文庫)を読み、実際の柳瀬嵩さんに深入りしてしまった。 考えてみれば、「アンパンマン」そのものについては、何も知らないのだった。

 いささか時間が経ったが、6月12日は『夏潮』渋谷句会だった。 兼題は「夏服」と「草茂る」、私はつぎの七句を出した。

夏服の街頭写真父若し
夏服や君等の臍に脅かされ
羅(うすもの)の人間国宝トリを取り
羅の噺家「あくび指南」かけ
付き人の極彩色の浴衣かな
三軒の建つとふ更地草茂る
荒屋(あばらや)に覆ひ被さり草茂る

 私が選句したのは、つぎの七句。
介護士の夏服の腕頼もしや      なな
麻服に籐のステッキパナマ帽     和子
白シャツの父に抱かれて登園す   作子
夏服に老いをあらはにさらしたる   さえ
味噌醬油運びし湊草茂る        作子
草茂るしやらしやらと鳴る草もあり  美佐子
石炭の栄華は昔草茂る         耕一

 私の結果。 <夏服の街頭写真父若し>を英主宰、和子さん、美佐子さん、<夏服や君等の臍に脅かされ>を耕一さん、照男さん、千草さん、幸枝さん、ななさん、<羅(うすもの)の人間国宝トリを取り>を英主宰、美佐子さん、<三軒の建つとふ更地草茂る>を淳子さん、ななさん、<荒屋(あばらや)に覆ひ被さり草茂る>を庸夫さんが、採ってくれた。 主宰選2句、互選11票、計13票、近来稀な成績だった。

 主宰選評。 <夏服の街頭写真父若し>…「街頭写真」、世代によって、記憶に残っている人もいるだろう。歩いていると、「写真を撮らせてください」と寄って来る街頭写真屋、太っ腹な父親が、写真を撮らせたのだろう。家族の姿が見える。 <羅(うすもの)の人間国宝トリを取り>…羅姿の男の芸人。背筋のピンと伸びた様子が、まことに良いものだ。