第683回三田演説会2006/10/24 06:38

 19日の木曜日、三田演説会に出かけた。 第683回になるというこの会を、 重要文化財の三田演説館で聴くのは、身の引き締まる思いがする。 ましてお 隣には、福沢と演説の研究がご専門の松崎欣一さんが座っておられた。 「創 立150年を前に」を大テーマとして、講師は最近共著で『「福翁自伝」の研究』 (慶應義塾大学出版会)を出された河北展生(のぶお)さんと佐志傳(つたえ) さん。 脱線するが、この本、「本文編」「註釈編」2巻セット分売不可で税込 み28,350円もする、高価な本である。

 後に『福澤諭吉書簡集』第4巻に収録された奥沢の不動産屋さん所蔵の大谷 光尊宛書簡(明治18年10月26日付、第992号)を鑑定のために最初に福澤 研究センターに持ち込んだ時、河北さんと佐志さんのお二人が一緒に見てくだ さったという思い出もあった。

 河北展生さんの講演は「幕末10年間の学塾経営の苦心談」。 その昔、河北 さんの『幕末の政争』(講談社現代新書)を愛読した。 本棚から取り出してみ ると、昭和43年5月16日の発行だった。 石井孝さんの『明治維新の舞台裏』 (岩波新書・昭和35年)とともに、幕末史の面白さを教わった本である。

 この日の河北さんは、攘夷か開国かという幕末政治の中での中津藩の動向、 それが福沢の塾開設や経営とどう絡んでいるか、『福翁自伝』には書かれていな い興味深い話をしてくれた。 このことが知られていないのは、中津藩の記録 がほとんど残っていないからだそうだ。

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