無所属の時間で生きる ― 2007/03/28 06:35
城山三郎さんについては<小人閑居日記>でも、2002.9.24.にはNHKテレ ビ「アーカイブス」で放送されたドラマ『男子の本懐』を扱っていた。 浜口 雄幸(おさち)と井上準之助の話、「経済財政改革、軍縮など、世論まで敵に回 しても、国民、子孫のためにやるべきことはやる。 現在の諸問題にも、多く の教訓を含んだドラマだった」と書いている。
その少し前2002.7.19. 24. 26.の三日にわたって、『この日、この空、この私 無所属の時間で生きる』(朝日新聞社)をとりあげていた。
○一日一日を人生での新しい日として迎えよ。 おどろくこともないし、あ わてることもない。 その一方、かけがえのない一日として過ごせ。 つまり 「この日、この空、この私」の思いで生きよ。
○城山三郎さんは「戦後最大の財界人」石坂泰三を調べて、『もう君には頼ま ない』(毎日新聞社)を書いた。 その調査の途中で、石坂泰三が何日か出張す るとき、空白の一日を日程に組み込んでいることに、注目した。 ただ風景の 中に浸っていたり、街や浜辺を散歩したりするのであった。 その空白の一日、 石坂は二百とか三百とかの肩書をふるい落とし、どこにも関係のない、どこに も属さない一人の人間として過ごした、という。 城山さんは、それを「無所 属の時間」と呼び、その時間の大切さを『もう君には頼まない』でも確認した という。
○一日に一つでも、爽快だ、愉快だと思えることがあれば、それで、「この日、 この私は生きた」と、自ら慰めることができるのではないか。 「一日一快」 でよし、としなければ。 事実、一日をふり返って、悪いことばかりという日 は、むしろ少ない。 それでも、どう見ても快いことが無いというなら、奥の 手がある。 寝そべって好きな本を読むことである。 短時間でもよい、好き なだけ読み、眠りに落ちる。
城山三郎さんは、筋を通す言動で貫いた生涯を終え、安らかな、おそらく「快 い」眠りを迎えられた。
最近のコメント