岩波文庫『日本唱歌集』を口遊(くちずさ)む ― 2007/04/18 07:53
ある昔話の語り部のサイトを家人が見ていたら、BGMに「ゆりかごのうた を カナリアがうたうよ ねんねこ ねんねこ ねんねこよ」が流れてきた。 私は即座に「北原白秋だ」と言って、すぐに岩波文庫の『日本唱歌集』を見た のだが、出ていなかった。 ネットで調べて、北原白秋作詞、草川信作曲とわ かった。 えへん。 ちなみに「唄を忘れた金糸雀(かなりや)は、後の山に 棄てましょか、いえ、いえ、それはなりませぬ。」という「かなりや」は、西条 八十。 これは調べのついでに、坪田譲治編『赤い鳥傑作集』(新潮文庫)で見 つけた。
きのうは家人が突然「空も港も夜ははれて」と、歌い出した。 これは『日 本唱歌集』にあった。 「月に数ます船のかげ。端艇(はしけ)のかよいにぎ やかに、よせくる波も黄金なり。」と続く。 明治29年5月の「港」、楽譜に は林柳波・旗野十一郎作詞、吉田信太作曲とあり、歌詞の方には旗野十一郎だ けしかない。 旗野十一郎(?~1908)の名は「たりひと」と読む由、「西条 山は霧ふかし。筑摩の河は浪あらし。」という知らない歌だった「川中島」の作 詞もしている東京音楽学校教授(国語)。 この「川中島」、昭和初年までお手 玉遊びによく歌われていたというから、年配の女性はご存知かもしれない。
年配といえば、先日家人のお知り合いの年配の男性が「鉄道唱歌」の文句を 知りたいといっているというので、この岩波文庫の『日本唱歌集』を紹介した ことがあった。 この本、なかなかのすぐれもので、パラパラやって口遊(く ちずさ)んだりしていると、とても楽しい。 慶應の古い応援歌「天は晴れた り、気は澄みぬ。自尊の旗風吹きなびく」(理財科学生桜井弥一郎作詞)が、「天 はゆるさじ、良民の、自由をなみする、虐政を、十三州の、血はほとばしり、 ここにたちたる、ワシントン。」という唱歌「ワシントン」(明治35年5月) の替え歌だということもわかる。
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