岩波文庫「私の三冊」ランキング2007/04/23 07:43

 岩波文庫創刊80年記念『図書』臨時増刊2007「私の三冊」が出た。 「各 界で活躍」している232人に、今までに読んだ岩波文庫のうち、心にのこる書 物、ぜひとも勧めたい本を、答えてもらったものだ。 学者や作家が多いが、 俳優やジャーナリストや本屋の店長もいる。 ちなみに佐藤江梨子はいないが、 黒木瞳がいる。

 ダントツの一位が『きけ わだつみのこえ』で18人、二位が8人で『吾輩は 猫である』と宮本常一『忘れられた日本人』、三位が7人のダーウィン『種の 起源』、ついで6人が挙げた吉野源三郎『君たちはどう生きるか』、中勘助『銀 の匙』、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、井筒俊彦『意識と本質』、 さらに5人が選んだ井筒俊彦訳『コーラン』、中江兆民『三酔人経綸問答』、横 山源之助『日本の下層社会』とつづく。

 岩波文庫編集部は「はじめに」で、このアンケートは10年毎3回目で、20 年前の一位が『銀の匙』、10年前が九鬼周造『「いき」の構造』だったこと、今 回の『きけ わだつみのこえ』を「「憲法改正」の動きが伝えられる今日の状況 と無関係ではないと思われます」と書いている。 井筒俊彦『意識と本質』と 『コーラン』、そして『日本の下層社会』が多かったのも、時代と関係があるの だろう。