『手控□高橋誠一郎略年譜』 ― 2007/06/21 08:00
長々と書いてきた「高橋誠一郎歿後25年記念講演会」だが、一番の収穫は、 実は、入口でいただいた『手控□高橋誠一郎略年譜 丸山徹 編』という新書版 をやや横広にした58頁の小冊子であった。 小さいながら、宝石のような労 作だった。 だいいち「手控」という言葉が憎い。 丸山徹さんは、昨年の「福 澤先生ウェーランド経済書講述記念講演会」で「小泉信三と作家たち」という 話を聴いて、びっくりした。 5月20日の日記に「経済学部教授で数理経済 学を教えているのだそうだから、文学はいわば「アマチュア」なわけだが、圧 倒されるような内容だった。 話を聴いた後、拍手する習慣を日本に広めた三 田の演説館に、大きな拍手が響いた。 すごい先生がいるものだと思った」と 書いている。
『手控』は年譜であるが、それぞれの項目に、主として高橋誠一郎さんの著 作を博捜した引用文があり、出典も明示されている。 たとえば、明治34年 (1901)17歳の1月25日の夜、福沢諭吉の大患が再発。 高橋さんたちは毎 晩福沢家へ詰め、徹宵して快癒を祈ったが、ついに2月3日に他界。 葬儀は 2月8日にあった。 高橋さんは、その折のことを、こう回顧している。
「私は普通科の生徒でございましたので、銃をさかしまに背負いまして、行 列の先頭に立って行進を始めたのです。前日に降りました雪がまだだいぶ残っ ておりましたことなども思い出されるのです。ラツパの音とともに行進を始め たときには、胸がせまって参りました。」(「福澤先生の政治経済論」『三田評論』 昭和42年4月号―『随筆慶應義塾』所収、P262-3)
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