フジモト・母なる海・デボン紀 ― 2008/09/05 07:16
『崖の上のポニョ』は、子供には難しいだろう。 大人にも、難しい。 プ ログラム(最近はパンフレットという)で、分かったことも多かった。 まぁ、 その年代なりの楽しみ方をすればいいのだろう。
かつて人間だったというポニョの父「フジモト」は、ジューヌ・ヴェルヌの 『海底二万リーグ』(私が子供の頃は、二万哩(マイル)といっていた)の、ネ モ艦長のノーチラス号に乗っていた唯一のアジア人の名前。 半分人間、半分 海の男、つまり半魚人だ。 海なる母グランマンマーレ(観音様。今、渋谷 Bunkamuraに来ているテート・ブリテンのミレイの「オフィーリア」のイメ ージだそうだ)と出会い、恋に落ちた。 その子、ブリュンヒルデ(ワーグナ ーの楽劇「ワルキューレ」の空駆ける乙女たちの長女の名)が、ポニョの本名 だ。
フジモトは、サンゴ塔という理想の海洋農場で、魔法の力を集めて、生命の 水を抽出し、貯蔵している。 クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョは、 崖の上の一軒屋に住む5歳の少年宗介に助けてもらう。 父に海に連れ戻され たが、宗介の血を舐めて、半魚人になったポニョは、いもうと達の力を借りて、 父の魔法を盗み出し、ふたたび人間世界を目指す。 危険な生命の水がまき散 らされた。 海はふくれあがり、嵐が巻き起こる。 町がまるごと水中に没す るのは、地球温暖化による海面の上昇そのものだ。
「デボン紀」や、その頃生息していたという甲冑魚「ボトリオレピス」や両 生類の直接の先祖かその仲間「ディプノリンクス」が出てくるのも、宮崎駿さ んの趣味なのだろう。
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