「野分」と「蟷螂」、わが選句2008/09/20 06:24

 「野分」と「蟷螂」の句会で、私が選句したのは次の七句だった。

ぶら下がる樋をなぶりて野分なほ        英

水漬く田へ水漬く橋越ゆ野分晴         良

野分して放置自転車薙ぎ倒し          松子

かの刀自や蟷螂に似てをられしと        英

蟷螂の腹引き摺つて歩みをり          和子

とぼけたる面構へしていぼむしり        さえ

蟷螂や朝寝の硝子覗きける           由実

 「野分」の第一句、そういう景を見た憶えがある、「なほ」だけで野分の激し さをさらに表して、上手いなと思った。 第二句、「水漬く」を重ねたリズム、 当然「海ゆかば」を思い浮かべた。 「放置自転車」の句は、私の句と同じ発 想だと思って採ったのだが、主宰は「放置」というと説明になると、私の方を 採ってくれた。

 「蟷螂」の第一句、思わず笑ってしまう、伝聞にしている配慮が憎い。 第 二句、言われてみれば、そういう姿を見ている、適確な写生。 第三句、刀自 の句に似た諧謔。 第四句、朝寝を覗かれているというのが面白い、私の網戸 の句に似た視点を感じた。