扇遊の「五人廻し」前半 ― 2009/01/30 06:49
かねがね「笑い」には「知の匂い」がしなければ、と思っている。 たとえ ば廓噺「五人廻し」の、入船亭扇遊のこんなマクラ。 吉原大門の松葉屋さん で、五代目の小さん師匠がまとめ役を頼まれて、松葉屋寄席というのをやって いた。 あちらの女将さんが『吉原はこんなところでございました』という本 を書いた。 その本を出した出版社が、主婦の友社。
「廻し」というのは、一人の遊女が数人の客をとって、座敷をまわること。 上方にはなかったそうだ。 田中優子法政大学教授の解説では、江戸は参勤交 代などで男の人口が多く、遊女不足が一因だろうという。 志ん生のセリフだ と「あんまり学校では教えないけれど」となるのだが、法政大学では教えるの だろう(この部分、扇遊のしゃべりではない)。
振られる噺である。 「三日月振(ぶ)り」というのは、宵に見たばかり。 「居振り」というのは、そばに居て何も出来ない。 おいらんは向うを向いて 寝ている。 こっちの方が寝勝手がいいなどと言う。 じゃあ、そっちへ行こ うかと言うと、こっちには箪笥がある、中の物がなくなるよ。 頭が痛い、と いうから、丸薬を十円玉(札だったか?)にのっけて差し出すと、喜んで取っ てしまって、向う向き。 お盆だけ、返してくれ、となる。(つづく)
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