セバスチャン・サルガドの「アフリカ」展 ― 2009/12/09 07:17
恵比寿の東京都写真美術館で、展覧会を二つ見てきた。 「セバスチャン・ サルガド アフリカ 生きとし生けるものの未来へ」(13日まで)と、「木村伊 兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン―東洋と西洋のまなざし」(2月7日ま で)である。 木村伊兵衛とカルティエ=ブレッソンを見に行くつもりにして いたら、11月29日のNHK日曜美術館で「サルガドのアフリカ」をやった。 内戦、飢餓、病気、貧困など、悲惨な状況を撮っているその写真が、なんとも 美しいのだ。 それはいったい何故なのか。 美しさと悲惨は矛盾しないのか。 姜尚中さんと中條誠子アナが展覧会の会場で、日頃「写真に言葉はいらない」 と言っているというサルガドに、特別にインタビューしていた。
ドキュメンタリー・フォトの第一人者といわれるセバスチャン・サルガド (1944~)は、ブラジル出身、フランスで農業経済学の博士課程を終了後、国 際コーヒー機構に勤め、1971年ルワンダに行った。 パリ時代、建築家である 夫人が仕事のために買ったカメラで、写真に対する好奇心に目覚めたらしい。 29歳で経済学者から、写真家に転進した。 なぜ写真なのか、「写真、それ自 体に力がある」「写真に翻訳はいらない、力強い言語を持っているから」と、語 っていた。 モザンビーク(74年)、アンゴラ(75年)の内戦などを撮る。 自 分のルーツを見直すために、ラテン・アメリカの人々を撮り、生と死が混然と したその世界をとらえた。 つづいて人間の働く姿をテーマに、社会のひずみ、 自然とともに生きる労働の喜びも写した。 そして再び、今回の展覧会の中心 になっている「アフリカ」を撮った。 現在は、地球原初の風景を砂漠や熱帯 雨林、極地や高山地帯に求める8年がかりの「GENESIS」というプロジェク トを進めている。
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