「手袋」と「葱」の句会2009/12/19 08:05

 「夏潮」渋谷句会は10日だった。 兼題は「手袋」「葱」。 私は次の句を 出した。

だしぬけに手袋欲しき日となりぬ

気に入りの手袋落としくやしくやし

手袋をセーターの腹に入れ洟をかむ

手袋を脱いで握手をして別れ

焼鳥に葱がなければ世は暗し

どぜうやのお代りの葱山のやう

祖母ちゃん子首に巻かれし葱の臭

 結果は、「だしぬけ」を英主宰と梓渕さん、「気に入り」を主宰とひろしさん、 「どぜうや」を良さん、「祖母ちゃん子」を耕一さんが採ってくれて、計6票、 まずまずといったところであった。  主宰は「だしぬけ」を、「手袋」を出さずに「手袋」の句にしてしまった。 「気 に入り」は、「くやしくやし」に片手が残ってしまった実感があってうまい、と。  「どぜうや」が採れなかったのは、「泥鰌鍋」でどうしても夏の句になってしま うのが、辛かった、とも。

 私の選句は、つぎの七句。

饅(ぬた)にせむ抜きたて貰ひ九条葱    秋

雨降つてをりつんつんと葱畑        良

葱畑抜けて左千夫の墓に出る        梓渕

ふるさとの土の匂ひの葱を剥く       一郎

手袋の脱皮のごとく置かれあり       なな

手袋を銜え脱ぎして小銭選る        なな

手袋のままに拭ひし涙かな         美保