志ん輔の「子別れ」 ― 2010/01/21 06:58
「子別れ」は、大ネタなのだった。 しょっちゅう聴いているようでいて、 次は500回を迎える落語研究会でも、「上」「中」「下」で演ったのは、先代小 さん(昭和48年3,6,7月)、円生(昭和49年6,7,8月)、小三治(平成4年4,4,7 月)、権太楼(平成13年5,7,8月)の四人、一度で演っているのは志ん輔の師 匠の志ん朝だけであった。
この噺は「こわ飯の女郎買」と「子は鎹(かすがい)」から成っている。 出 入りの大店の隠居の弔いで酔っ払った大工の熊五郎、途中で会った紙屑屋と吉 原へ行き、品川時分から馴染みだった妓と遊ぶ。 それを惚気て、女房が子供 の金坊(亀)を連れて出て行き、吉原の女を家に引っ張り込んで失敗する。← ここが「中」だが、志ん輔は「酒をやめて三年」と、ざっくり省略した。 余 り面白くない所なので、賢明な選択だろう(志ん朝も、こうしていたか)。
前半では、紙屑屋が紙屑屋と呼んでもらいたくない所、弔いで貰って背中に 入れたこわ飯と煮〆の竹皮包から、がんもどきの露がふんどしに染みるのが、 聴かせ所だ。 そしてご存知の後半。 おっ母さんは、みんなお酒が悪い、お 父っつあんのことはこれっぱかしも言っていないよ、おっ母さんが縫い物をし て、学校へ行っているよ、(小遣いにもらった)五十銭にお釣がないよ、短いの を貰って使っているから鉛筆買うんだ。 (おでこに灸の跡のようなものを見 つけた熊に)独楽でガッと、田中さんの坊っちゃんがやった、田中さんにはお っ母さんが沢山お仕事貰っているから我慢しろって。 志ん輔、十分に笑わせ、 そして泣かせたのであった。
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