圓太郎の「羽織の遊び」2011/04/08 06:54

 橘家圓太郎、現代人は考え過ぎる、真面目でしょうがない、と。 電力の節 約だが、ウチに帰るのが無駄だ、飲んで帰る時、「ねえ、節電しない。おじちゃ んと節電しようよ」と言って、節電おじさんと呼ばれている。 落語は、頭の 中を空っぽにする素晴らしい機会。 座ると、もう動けないし、小三治はまだ 出てこない、途方に暮れる。

 「羽織の遊び」、町内の若い者が集まって「吉原、行きてえな」ということに なるが、懐が生憎な奴ばかり。 「ちりとてちん」などと同じ展開だ。 吉原 に行ったのは、八年前だという奴がいる。 今年八つになる大家の孫の誕生祝 いに、みんなの割前を持って粽(ちまき)を買いに行ったが売り切れ、手ぶら で大家の家に行ったら、玄関に粽の山だ、一つ手に持ったところへ大家が出て 来た、これはみんなからの祝いだと言って、みんなの割前で吉原へ行った。 こ れだけ集まって、一円と二銭しかない。 

 兵隊ばかりじゃあダメだ、大将を見つけよう。 六ちゃん、心当たりは? 遊 び好きで、金のある、大家(たいけ)の若旦那、吉原に行くかね、遊び好きだ けれど、鬼ごっこにかくれんぼ、アタイはヨッチュですって。 そうだ、伊勢 六の若旦那、チャラチャラ茶人で、通人、扇子を半開きにして「コンツワ、ス ンちゃん」って言う、俺は新吉だ。 「今日は、ヌツヨウ日でげす」って言わ れると、体中にぶつぶつ蕁麻疹が出来る。 来たぞ。 若旦那、町内の女湯で はあなたの噂ばかりですよ。 なぬ、町内の女湯でセツの噂。 昨夜は、ロウ におりやした。 小菅かね。 青楼にふけました、吉原でげす、花魁は初会惚 れのベタ惚れで。 メタボ? おしけとなり、二人で上になり下になりしてお りやした。 12時とおぼしき頃、花魁はセツの鼻を舌の先でへろへろへろと、 舐めやした。 夜中の3時とおぼしき頃、花魁はセツの目蓋を舐めて、目蓋の 裏に、指を入れ…、痛い、寝かせないんだ。 白々明け、花魁はセツの鼻の穴 の中にブシッと、一命を落すところ。

 のろけた若旦那、吉原へお供しましょ、勘定のほうはセツが、みんな一緒に。  活花の朋友ということにしてご同道します、でも、そのナリでは困ります、見 識というものがある、お羽織の一枚もお召しにならないと。 ない方は、また 次回。  みんな羽織を探して来る。 熊ちゃんは頭(かしら)の、大ちゃんは丈の長 いのを質屋で調達、相撲取のを携帯電話と一緒に預かっていた。 六ちゃんは、 斉藤さんのお坊っちゃんのを、肩上げがしてある。 銀ちゃんは、八つ口が開 いてる、婆さんの形見。 

スンちゃんだけが、羽織がない。 ちょっと待ってくれと、やむなく店賃が 八つ溜まっている大家のところへ。 大家は寄合に出かけていた、羽織を着て、 くそったれ大家。 おかみさんに訊けば、何枚でもあるよ、見せてもらいてえ。  黒紋付、着てみると、棟梁(とうりゅう)か咄家に見えるよ。 結城、職人に 合うよ、イナセだ。 何で羽織がいるんだ、とおかみさん。 吉原へ行く、今 晩一晩だけ。 気障助、私は女だよ。 頼むから行かせてくれよ。 何が女郎 買いだ、祝儀不祝儀ならともかく。 祝儀不祝儀だ、祝儀と不祝儀がぶつかっ たんだ、ドーンと。 どこで? おでことおでこ、この目で見た、広小路の所 で、鰻屋の二階で手打ちがある。 不祝儀というのは、折れ口、弔いのことだ よ、誰が死んだんだい。 お長屋の…、小間物屋の彦兵衛さん、急でしたねえ、 夜の白々明けにコロッと、この目で見た。 彦兵衛さん、今朝、店賃持って来 たよ。 あそこを通るのが、彦兵衛さん。 糊屋の婆さん、死んじゃった。 二 階で針仕事をしているよ。 誰なんだい? その内、誰か死ぬでしょう。