「18歳の君たちへ 東北の海を 感じに行こう」 ― 2012/03/10 03:49
いよいよ明日で、東日本大震災から一年になる。 渡辺憲司さん(1944年生 れ)が、6日の朝日新聞朝刊オピニオン面「耕論」「贈る言葉」で語った、「18 歳の君たちへ 東北の海を 感じに行こう」も、紹介しておく(これも私の拙い 要約だが)。 案外、朝日新聞を読んでいない方も多いから…。 昨日の「時に 海を見よ」を読んで、私が思い出したのはJ・F・ケネディの演説だ。 日本の 政治家や校長は、どうして、こういう格調の高い、詩的で素敵な、演説ができ ないのだろう。
海を感じなさい。 五感を震わせて海を感じなさい。 その目で波頭を見て、 その鼻で潮の匂いをかぎ、肌で東北の海の冷たさを感じなさい。 自然を体感 しなさい。 科学の進歩の意味を、海や自然が教えてくれるだろう。
新聞やテレビで分かった気になってはいけない。 今からでも遅くない。 震 災から1年たった東北を訪ねなさい。 今は静かな海、人の絶えた街、うずた かく積もったがれき、動物の死骸、すべて見てきなさい。
君が大人になった時、後の世代から必ず問われるだろう。 「あのころ。ど うしていたの」と。 関係なく生きていたよと、君は答えるだろうか。 2012 年3月の東北の海で感じたこと、考えたことを自身の生き方に反映させなさい。 次の世代へ、次の次の世代へと語り継いでいきなさい。 これは君たちの義務 なのだ。
人に会いなさい。 いろんな人と会い、身が細るほど相手の身になって物事 を考えられる。 他人と不幸を分かち合える。 そんな人間になりなさい。
理想を掲げなさい。 老人には描けない、何十年先の理想を掲げなさい。 理 想を実現するために何をすべきか考えなさい。
敗戦から1年後、日本国憲法が発布され、日本は戦争放棄という新しい理想 を掲げた。 戦争から帰った、あるいは行くはずだった若者たちが、その理想 に夢を託し、彼らが戦後日本の繁栄をつくった。
震災から1年、今、君が夢を託せる理想があるか。 震災後の日本をつくる 理想を描けたか。 私たち老人も考えよう。 君たちも考えなさい。 自身に 問いかけなさい。
今、海を感じなさい。 人と会いなさい。 新しい理想が、理想の社会が、 きっと見えるはずだ。 描けるはずだ。
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