鎌倉文学館、小尾芙佐さんの展示 ― 2013/04/19 06:46
16日、新緑の鎌倉に鎌倉文学館を訪ねた。 3月10日、「あなた、いい学校 に行きなさいよ。」に書いた小尾芙佐さんの「ミステリー作家 翻訳家」展(鎌 倉文学館収蔵品展・鎌倉文人録シリーズ7)(4月21日まで)を、ようやく見 に行ったのである。 少し暖かくなってからと思っていたら、3月末から風邪 を引いてグタグタしていて、この日になってしまった。
朝、大船駅で人身事故があり、東海道線が一時運転を見合わせしていたのは 知っていた。 だが横須賀線にまで、波及しているとは思わなかったのである。 横浜まで行くと、横須賀線が大幅に遅れていた。 東海道線は動いていたので、 藤沢まで行き、江ノ電に乗る。 Suicaだと(切符や定期券なら出来る)、振替 乗車が出来ないことを知った。 でも、鎌倉から極楽寺まで乗ることはあった が、ふだんなかなか乗らない江ノ電で、懐かしい鵠沼や江ノ島、腰越・七里ヶ 浜・稲村ケ崎の風景を楽しむことが出来た。 穏やかな春の海で、サーフィン をしている人たちがいる。
鎌倉で予定していた食事場所に行けなくなったので、ダイヤモンド鎌倉別邸 ソサエティという名前だけは立派な所で、素朴で簡単な昼食をして、鎌倉文学 館へ。 トンネルをくぐると、鴬がいい声で迎えてくれた。 バラはまだだが、 周辺や裏山の新緑が輝いている。
展示の「ミステリー作家」は黒岩涙香、横溝正史、夢野久作、鮎川哲也、高 木彬光、斉藤栄、三上延、「翻訳家」は昇曙夢(のぼり・しょむ)、厨川白村、 山内義雄、秘田余四郎、神西清、澁澤龍彦(没後25年特集展示)、そしてお目 当ての小尾芙佐。
小尾芙佐さんのコーナー、光文社古典新訳文庫のジェーン・オースティン『高 慢と偏見』の「再校の校正」にも、たくさんの朱筆が入ってるのに驚く。 「ひ らがなで統一」という鉛筆書きもある。 ご自身も、『鎌倉ペンクラブ』第8 号の「自著を語る」で「責了寸前の念稿にまでたくさんの赤字を入れるという 荒技を演じて、編集者にもたいへんなご苦労をかけてしまった。」と、書いてい らっしゃる。 『アルジャーノンに花束を』の著者ダニエル・キイスからの1993 (平成5)年9月16日付の手紙や、キイスに贈られたピアスなども展示されて いる。 この翻訳にあたっては、32歳になっても幼児の知能しかない主人公チ ャーリー・ゴードンの文体に、画家山下清のおしゃべりを何度も聴いて参考に したという。 物語の冒頭は、こうなっている。 「けえかほおこく1――3 がつ3日/ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれから ぼくのまわりでおこたことわぜんぶかいておきなさいといった。」
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