「食積(くいつみ)」と「氷柱」の句会 ― 2014/01/13 06:31
9日は「夏潮」渋谷句会だった。 この日までの一覧表を配ったが、平成18 (2006)年6月14日に始まって以来77回目、句会もこの時間を一緒に過ごし、 同じ空気を吸う「ご縁」だとつくづく感じる。 兼題は「食積」と「氷柱」。 「食 積(くいつみ)」は、俳句をやらない人には馴染みのない言葉だろう。 実は私 も、何それ、であった。 『ホトトギス 新歳時記』には、「食べ物を積んでお くという意味で、正月用として、あらかじめ作った料理を『重詰(ぢゅうづめ)』 にしておくことをいう」とある。 私が出したのは、次の七句。
食積や家族健やか祈りつつ
食積の箸の父の字我が下手字
出来合の食積で年始まりぬ
食積にいつも残りし物のあり
両掌にて掴めぬほどの氷柱かな
大寒波日に日に氷柱太くなり
氷柱から面(ツラ)覗かせて登山客
私が選句したのは、次の七句。
喰積の色も味はへおい倅 ひろし
喰積の家の長たる母の前 さえ
喰積を囲み零歳九十歳 さえ
喰積にうからやからの親しさよ なな
小さき瘤連ねて氷柱尖りゆく 裕子
氷柱ごしのゲレンデ眩し晴れ三日 さえ
ずり下がる屋根の雪より氷柱かな さえ
私の結果は、互選では<食積や家族健やか祈りつつ>を松子さんが採ってく れたので、あやうくスコンクを逃れ、主宰が<出来合の食積で年始まりぬ>と <氷柱から面(ツラ)覗かせて登山客>の二句を選んでくれた。 初句会とい うこともあり、例外的に点を付けて判明したのだが、11名中のブービー賞であ った。 主宰の選評は、まことに温かく、<出来合の>…それでも、今年がい い年であるようにという気持、<氷柱から面>…単に「氷柱」と「面」が響く 狙いではなく、「面」(髭面とか)というような顔なのだろう、と。 毎度なが らの鳴かず飛ばずの初句会ではあったが、二重の意味で主宰に救われた。
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