三遊亭歌彦の「悋気の独楽」2024/04/05 06:56

 3月29日は第669回の落語研究会、朝からの雨と強風が収まって、傘なしで出かけることが出来た。 歌彦は早口だ、ドンキのない高知出身だ、と。 コンビニで並んでいると、前のカップルがイチャイチャしている、きれいな女の子に不細工な男、美女と野獣だ。 店員が、弁当を温めますかと聞くと、その不細工が、僕たちみたいにアツアツで、と。 店員すかさず、冷めやすいので、気を付けて!

 お前、出かけるよ。 毎晩、どちらへ。 忙しくて、頭がもやもやしたから、寄席へ。 噺家が、お白粉を塗って、出るんでしょう。 寝巻みたいじゃない着物を出してくれ。 寝巻でもいいでしょ、どうせ、すぐ寝るんだから。 晩くなるよ。 行ってらっしゃい……、行きやがれ。

 定吉、最近、旦那がおかしいだろ。 おかみさんは最近気がついたんですか、旦那はずっとおかしい、仲間もみんな、そう言ってます。 後をつけて、どこへ行くか確かめておくれ。 今からですか、もう寝る時間で、時間外手当を。 お小遣いをあげるから。

 旦那が、ヨタヨタ歩いてるよ。 スケベーッ、助平爺ーッ、火葬場へ行けーッ! 何だ、定吉じゃないか、どこへ行く。 あたい、お使いに。 先に、行け。 旦那が先に。 ウチの奴に、お小遣いでも、もらったな。 まだ、もらってない。 途中で見失ったと言え。 嘘つきは泥棒の始まりで。

 ついちゃったよ。 板塀にヤモリみたいにくっついていないで、早くお帰り。 私だよ。 旦那様がいらっしゃいました。 ちょうど今、お刺身が届いたところ、燗もついたところで。 やってますね、音羽屋! お供さんですか。 小僧の定吉だ、いくらかやって、帰しておくれ。 いつも、ウチのあれがお世話になっています。 お足と、お饅頭をどうぞ。 ウチはケチでお饅頭なんて出ない、あたい、粒餡が大好きで。

 そこにある独楽は、何ですか? 辻占の独楽、黒いのが旦那の独楽、赤いきれいなのが私の独楽、色のはげたボンヤリしたのがご本妻の独楽。 回して、旦那の独楽がくっつくほうに、お泊りになる。 あたい、この独楽、いただいてもいいですか、ウチでやります。 持ってらっしゃいな。 袂(たもと)にいれて、と。 また、いらっしゃい。 ちょくちょく、伺います。

 お金持になったら、お妾さんを囲って、お饅頭を沢山食べよう。 おかみさん、ただいま! 旦那は、どうしたい? 旦那は駄目、途中で見えなくなった、見失ったんです。 定吉、私は待ってて肩が凝ったから、肩を揉んでおくれ。 みんな、もう寝てますよ、叩き賃を。 トントン!トントン! (肩を揉みながら、時々、おかみさんの頭を小突く) 何で、小突くんだ、前に鏡があるよ。 何か、音がするね。 お足と、独楽かい。 お前の後を、女中のお清につけさせたんだ。 斥候の、斥候ですか。 見失ったなんて、嘘つきは泥棒の始まりだよ。 旦那は、帰ってくるのかい。

 その独楽は何だい? 辻占の独楽、黒いのが旦那の独楽、赤いきれいなのがお妾さんの独楽、色のはげたボンヤリしたのがおかみさんの独楽。 旦那の独楽がくっつくほうに、お泊りになるんで。 回しておくれ。 他の小僧は、みんな寝てます、労働基準法違反で。 旦那は、自業自得だ。 (独楽を回して)お泊りです。 もう、いっぺん回して。 おかみさん、焼くのはやめて、そろそろ自分を焼く年なんだから。 旦那の独楽、逃げる、逃げる、アッ、お泊りです。 何度もやりな! 駄目です、旦那の独楽は、心棒が狂っていますから。