月(moon)と生活2006/02/13 07:05

 昨日の朝日新聞の読書欄に、志賀勝さんの『月的生活』(新曜社)という本が 紹介されていた。 志賀さんは、旧暦を月暦(つきごよみ)と称して、その復権 につとめてきた人だそうで、「西暦」が生産性と効率を生んだのに対し、「月暦」 は内省と自然との調和をもたらす、とする。 そのほんの一例として、毎月の 初めの日を「ついたち」と言うのは、月が新たに満ち始める、という意味で「月 が立つ」「月立ち」「ついたち」だそうである、とある。

 まさに昨日書いた話で、新月を「朔」という、その「朔」は「さく」とも「つ いたち」とも読む。 昔の人は、月(moon)を見れば、その日が一ヶ月の何日ぐ らいに当るか、暦(カレンダー)が頭に浮かんだのだろう。 それだけ月(moon) と生活が密接に結びついていた訳で、和歌俳諧の詠むものが花鳥風月で、月が 大きな地位を占めているのも、当然なのだ。 月についての季語も、たくさん ある(俳句の月は秋限定だが…)。 盆の月、待宵、名月、良夜、無月、雨月、 十六夜、立待月、居待月、臥待月、宵闇、更(ふけ)待月、後の月、星月夜。 現 代の、とくに都会の人は、日頃、月を見ることがめったになくて、俳句で月の お題など出ると、困ってしまうのだ。