木曽川は水力発電に最適だった2011/06/11 05:39

 今回の旅行、名古屋から乗った名鉄電車が貞奴の墓所のある新鵜沼行き、泊 まったホテルが桃介ゆかりの名鉄の犬山ホテル、メイン・イベントの木曽川鵜 飼と、翌日の快晴快適だった太田からの日本ライン下りも飛騨木曽川国定公園 と、福沢桃介にかかわりの深い旅となった。

 『桃介・独立のすすめ』に、なぜ桃介が木曽川を電源開発の対象に選んだか が、書かれている。 長野県を源に、岐阜県に入った木曽川は支流飛騨川を合 わせて、太田の埋積盆地に出て、また峡谷をつくり、日本ラインの景観を見せ る。 濃尾平野を流れて、伊勢湾に注ぐまでの全長230キロ、東海一の大河だ。

 桃介は、わらじをはき、技術者を連れて、この流域の森林、峡谷を、実地に 調査して歩いた。 調査を進めれば進めるほど、桃介の眼は希望に輝いた。 一 般的にいって、水力発電に必要な条件は、五つある。 (1)水量が豊富であるこ と。(2)河川に急勾配による落差が多いこと。(3)電力の消費地に近く、送電設 備に多額の経費を要せず、送電途中のロスが軽微なこと。(4)鉄道運輸の便が近 くにあること (発電所建設の資材運搬に有利) 。(5)水源が深く、四時水流が枯 渇しないこと。

 日本全国に川は多いが、この条件を全部備えているものはまれである。 た とえば、水力発電の歴史で、早くから着手された川の中でも、鬼怒川は落差は 多いが、水量は多くない。 宇治川は、琵琶湖があるので水量は多いが、落差 は少ない。 ところが木曽川は、以上の五条件を全部備えているのだった。