岐路に立つ日本を、大震災が襲った ― 2011/06/22 06:53
そこで岸井成格さんの講演である。 岸井さんは、たまたま世界と日本が「文 明の岐路」に立っている転換期に、大震災が日本を襲ったと、大きく捉えた。 岸井さんは「3」という数字を大切にして、問題を読み解く座標軸にする。
世界と日本の共通の問題。 (1) 第三次産業革命に突入(説明はなかったが、 IT産業とネット社会の進展、グローバリゼーションを指すのだろう)、(2)2012 年問題…アメリカの大統領選挙を始め、中国、台湾などで首脳の選挙または交 代の時期。権力闘争が起き、ナショナリズムが強くなり、ロシアが対日戦勝記 念日を9月2日と制定したように、各国が日清戦争から120年ぶりに領土問題 を日本につきつけ、外交課題は先鋭化する、 (3)2050年問題…少子高齢化が進 み、たいへんな時代となる。資源、エネルギー、食料、水の枯渇から、争奪戦 となるかもしれない。
日本の近・現代史には、三つの転換期があった。 (1)幕末・維新、(2)敗戦・ 復興、そして(3) 「今」。 「今」、第三の転換期は、第三の建国の時でもある。 「今」が直面する歴史的課題は、(1) 少子・高齢化から、人口減少時代に突入、 (2)“無縁”社会と “孤独死”、自殺、モラルの荒廃、 (3)環境汚染と森林の荒 廃。 日本を読み解く「3」の座標軸として、岸井さんは、日本が大きく変わった 時期の「400年周期説」を説く。 「今」第三の転換期の、400年前に江戸時 代になった、800年前は鎌倉時代、1200年前は平安時代、1600年前は古墳時 代の国家形成期、2000年前は吉野ケ里遺跡の環濠集落や高床式住居の時代、と んでもない地震と富士山の噴火があった。 大動乱の時代に、天変地異が重な っている。 人心が荒廃し、無常感が広がり、宗教革命が起こっている(比叡山・ 高野山、法然・親鸞・禅宗)。 干支で読むと、2010年「庚寅(かのえとら)」と2011年「辛卯(かのとうさぎ)」 の年、60年前の1950(昭和25)年、120年前の1890(明治23)年は新しい国造り の年、後者では第一回帝国議会選挙で野党が圧勝した。
混迷政治を襲った大震災。 古くから「政(まつりごと)の乱れが天変地異を 招く」といわれる。 (1) 関東大震災…1923(大正12)年、首相がなかなか決ま らずゴタゴタしていたのが、震災翌日山本権兵衛が首相となり、後藤新平を起 用、復興事業に当たらせた。(2)阪神大震災…1995(平成7)年、村山富市(自社さ) 内閣、翌日は社会党分裂の日だったが、村山内閣は延命し、村山は自民党の小 里貞利を震災対策担当大臣にし、全権を与え、官邸・与党の司令塔が機能した。 (3)東日本大震災…2011(平成23)年、菅直人(民主)内閣。復旧がなかなか進まな い、被災地では「復興」「ガレキ」(中に行方不明者がいる)と言うと叱られる。 官僚が動かない、県レベルの効率が、特に悪い。
外国では震災後の日本を「国民は一流、官僚は二流、政治家は三流」と評し た。 政治が、どうしようもない。 大連立も失敗し、菅政権は1~2か月続 くのではないか。 ここだけの話という、裏話もいくつか聞いた。
原発がすべて停まることによって、電力や停電の問題は、今後、政権がどう なるかともからむが、来年の春にも、産業界(経済)と国民生活のどちらを優先 するかという、厳しい選択を迫られる時期が来るだろう。 各メディアもまだ、 選択を迷っている。
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