柳家おじさん改メさん光「ん廻し」2014/01/02 07:13

 12月25日、クリスマスは第546回の落語研究会。 なぜかこの会、イブや クリスマス当日に重なることが多くて、我家ではまことに評判が悪い。 友人 の席が一つ空いていたので、小三治も出ることだしと、三人に声をかけたが、 みんな予定があった。

「ん廻し」   柳家おじさん改メ 柳家 さん光

「猫怪談」            柳亭 左龍

「穴どろ」            柳家 小満ん

         仲入

「匙かげん」           入船亭 扇辰

「やかんなめ」          柳家 小三治

 座布団を運んでいた柳家おじさん、11月二ッ目昇進で、師匠権太楼の二ッ目 名前さん光を継いだという。 いっぱいの拍手に、拍手をもらうと、涙が出そ うになる、と抑える。 二ッ目に昇進すると、四か所の寄席の師匠連中になぜ かスーツで挨拶に行くことになっている。 買いに行った。 AOKIという店、 スーツが1890円というので、早速買った。 それだけじゃいけないと、ワイ シャツを買ったら、2500円だった。 不思議なAOKIだ。(と、羽織を脱ぐ)

 みんなで、陽気にこんなことをしよう。 (指をおちょこにして)一杯飲む 真似をする。 (指を曲げて)泥棒か? 銭、大きいのはない。 細かいのはあ るのか。 あると、いいな。 今、持ってない奴、ウチにあるといいな、銀行 に預けてあるといいな。 みんな金はない。 言い出したのが、三升ばかり酒 を用意してある、こんだけ銭もある、誰か横丁の豆腐屋で木の芽田楽を買って 来てくれ、と。 

 買って来た。 味噌の焦げるいい匂い。 手を出すな、ただ食わさねえ、隠 し芸の見せっこをしよう。 芸をやった者が、一本食べる。

 一番最初に手を上げた六ちゃん、帯を解く、着物を脱ぎ、長襦袢をポイ、両 手を上げる。 何だ? 隠し毛の見せっこでしょ、毛深い。 バカ! 銀ちゃ んは踊り。 五年間、お師匠さんに通っていたというが、ぜんぜん駄目。 次 の手品も、手拭から石や、ハサミを出す。 お前、それジャンケンだ。

「ん廻し」をやろう、縁起のいい「ん」の字で、田楽一つ。 ハイ、六ちゃ ん。 「ん、ん、ん、ん、ん、五本くれ」。 ダメ。 はい、「りんご」。 いい ね、一本。 「みかん」。 持ってきな。 「にんじん」。 二本だ。 皆さん、 待って下さい。 六ちゃん。 「トマト、キャベツ、きゅうり」で三本。 駄 目だ、「ん」の字がない。 「トマトちゃん、キャベツちゃん、きゅうりちゃん」。  身の上で一つ、「前科三犯」。 三本。 「オン馬が三匹、ヒンヒンヒン」 五 本。 「ワンタンメンてなんでんねん」。 六本。 きれいに「新婚さん新幹線 三番線」。 九本。 ♪「雪のつづく……、「アンパンマン」の歌」歌う。 十 三本。 ソロバン出して……、「ズッドーン、パパンパンパン、パパンパンパン、 パパンパンパン、パパンパンパン……、ズッドーン、プシューン」。 わかんな い、何それ? 打ち上げ花火よ。 川崎の竹屋の店先に落ちて、竹に火がつい て撥ねる音。 プシューンは、川に落ちた音。 今日のところは、百二十六本 にまけとくよ。 何で、私のだけ味噌がついてないの? お前のやったのは、 火事だけに、焼かずにおこう。

さん光、二ッ目なり立てにしては、とてもよかったと思う。