小駒改メ金原亭龍馬の「湯屋番」 ― 2014/01/27 06:41
龍馬という大胆不敵な名になったが、四国出身ではない、落語界を変えて行 くという。 <居候三杯目にはそっと出し>、憶えがある、入門して一年間は 身入りなし、今は住込みでなく近所に住んで師匠の家に通う。 <居候足袋の 上から爪を切り>、足袋に穴が開いている。 <居候嵐に屋根を這い回り>、 <居候亭主の留守にし候>。
居候とおかみさんは、仲が悪い。 若旦那、昼間っからゴロゴロしていて、 いつまでウチに置いとくの、私の方が出て行く。 わかったよ、話をするから、 裏のお崎さんの所へ行ってろ。 若旦那! へーーーい、呼んだかい、失くし 物だ、ふんどし、この紐か、グルグルまきつけて降りて来る、お早う。 今、 何時だと思ってるんですか。 何だい、話聞くよ。 何かする気はありません か、奉公。 腹いっぱい食えるなら、死なないために行くよ。 おかみさんの お給仕、水にプカプカ浮んだシャモジで、おまんまの上に水をパラパラ、パタ パタ叩き、サッと剥(そ)ぎ、茶碗のてっぺんで扱(こ)く、そぎ飯の、こき 飯、地盤沈下飯。 ササッとお茶漬というけれど、お茶漬にすれば、サッで終 り。 お代わりと茶碗を出せば、若旦那、お茶ですか、お湯ですか、水ですか。 隣の清元のお師匠さんの所へ行き、庭にいたのでおしゃべり、昼に食べた魚の 骨がノドに刺さったと嘘を言う。 それならおまんまを丸呑みするのがいい。 お鉢に八分目あったおまんま、赤ん坊の頭くらいのおむすび三つ作って食った けれど、旨いのなんのって、生れて初めて。
日本橋槇町の奴湯はどうか。 女湯があるというので、行きます、行きます、 生涯向うにいる。 主の鉄五郎さん宛の手紙を書いてもらって、神田の大熊(だ いくま)から来た。 大工の熊さんですか、だいくま、日用品売ってるのかと 思いましたよ。 手紙に噴き出す、アラララ、名代の道楽者というのは、あな たですか、手始めに外回りはどうです。 いいね温泉を巡る、いい旅夢気分。 車を引いて、普請場回り、焚く物を集める。 煙突掃除は? さて、その次に ひけえしは、弁天小僧じゃなくて、煙突小僧ススノスケ、菊五郎はやらない役 だ、番台をやりたい。 務まりません。
かみさんが出かけた、手が足りないから困る、すぐ行くよ、おまんま食べる 間、番台に座ってて、駄目だよ、私が下りてから、上がって。 よいしょっと、 女湯、誰もいないじゃないか、男湯はずいぶんいるね。
二号さんがいいよ、あとくされがない。 客の忘れた石鹸かなんか渡して、 仲良くなる。 女中さんが、格子を磨いている。 お清や、誰か来たのかい。 お姐さん、おぶやのお兄さんが見えましたよ。 お釜が壊れて早仕舞い、色っ ぽくないな、お袋の墓参りの帰り。 手をつかんで「お上がり」って。 淳ち ゃん、番台をご覧よ、面白いよ。
酒をやったり、とったり。 お兄さん、今の盃すすがなかったの、ご存知で しょ。 弱ったな、この辺で失礼するか。 やらずの雨、雷。 お清、蚊帳を 吊って。 カリカリ、ドッスーーン! 女が気絶して、口移しで水を飲ませる。 今の水のうまかったこと、うれしゅうござんす。 なんだ、健ちゃん、血だらけじゃないか。 石鹸と間違えて、軽石で顔、擦 っちゃったよ。
龍馬、番台から落ちるのをやらなかったのは、落馬を意識したのだろうか。 せっかくの午年の初席なのに、跳ねるところまで行かなかったのは、残念。
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