小里んの「提灯屋」 ― 2015/07/09 06:31
宣伝の時代、テレビショッピングを見ていて、庭の枝切り鋏を、庭がないの に、買ったりする。 料理もしないのに、包丁のセットを買う。 テレビのコ マーシャル、今、番組より面白いのがある。
チンドン屋、女は鳥追いのかっこうで三味線を持ち、男は旅人の姿。 子供 が付いて行って、迷子になったりする。 女のチンドン屋、いい女だったぜ、 広告もらった、みんなで行こうじゃないか、お銚子一本ぐらい余計に付けるか もしれない。 町内の若いもんが集っている。 どこに、何屋ができたんだ? 読めねえ。 昔は引き札、天紅といった、駿河半紙に瓦版やこんにゃく版で刷 ってある、大きな字なら、読みやすい。 活版刷の小さな字なんで、次へ回す。 みんな読めない。 チンドン屋が、何て言ったか、聞いてこなかったのか。 お 二階へ、ご案内。 蕎麦屋なら、伸びたような字だ。 鰻屋は、ヌラヌラした ような字。 どじょう屋なら、七輪やネギの絵を描くだろう。 西洋料理なら、 ナイフとフォークの絵だ。 おでん屋は、鍋の絵。 すっぽん屋なら、○だ。 俺も、読めねえ。
ものには弾みというものがある。 三味線に、唄がある。 車屋は、坂を下がる時、大変だ。 何だって弾みだ、ハナの字がわかればいいが、ど忘れした。 二番目の字、古くからある字なんだが…。 こちとら職人だ、読めねえが、臭 いを嗅ぎゃあ、わかる。 わかった、わかった、活版屋の広告だ。
米屋の隠居が通る。 みんな読めない、あっしが読むと角が立つ、隠居さん に読んでもらおうと、呼び止めました。 昔は、引き札、天紅、駿河半紙に瓦 版やこんにゃく版で刷ったもんだ。 次へ、回しますか。 「四方のお客様。 唐傘、提灯屋の開店。 向う七日間、提灯の紋、唐傘の印、描けないのがあれ ば、タダ。」 なんだ、食い物屋じゃないのか。 タダになるなら、行ってみよ う。
お前の所は、提灯屋か? へい、へい、提灯屋で。 描けない紋があれば、 タダだそうだが、後ろのぶら提灯に、「鍾馗様が大蛇を胴斬りにした紋」を。 紋 がなかったら、あなたの首を頂きますが…。 判じ紋だ。 わかりかねますな。 剣にうわばみ、「剣カタバミ」だ、提灯もらっていくよ。
ぶら提灯に、「道楽者の、罰当り」を。 描けません。 わかりやすい、道楽 者は梅の毒に当る、「梅鉢」。 お前んとこか、提灯タダくれるってのは。 ぶら提灯、もうない、馬提灯、 いくらか高い。 俺んちの紋は、「ソロバンの掛け値が八十一で、やっこさん商 売して儲かったのに、かみさん離縁して、可哀想だなって紋」。 九九、利があ ったのに、去っちゃった、「括(くく)り猿」。
町内の若いもんが提灯行列、米屋の隠居が提灯屋に穴埋めに行く。 また、 入って来やがった。 迷惑、かけたそうだな。 高張提灯を、いくら高くても、 かまわない。 一対にして、私の家まで届けて下さい。 私のところの紋は、 「丸に柏」です。 ちきしょう、さすが元締、解けそうにない問題だ。 わか った、「すっぽんに、ニワトリ」か。
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