三年目の『夏潮』に高橋睦郎さんの祝辞2010/02/18 06:44

 宴会の冒頭、連絡ミスで句会に参加できなかった来賓、詩人の高橋睦郎さん の祝辞は、その分「じっくり」「作品のつもりで」という厳しいものになった。  『夏潮』は三年目、正念場を迎えた。 本井英主宰は昨年、第三句集『八月』 の発刊、雑誌『角川 俳句』の三人鼎談の句評など充実した一年を過したが、三 年目は真価発揮の時である。 『夏潮』は、巻頭の主宰近詠を始めとして、お となし過ぎる、行儀が良すぎる。 主宰の句は、今井千鶴子さん、深見けん二 さんとの個人誌『珊』だと、もっと角角しい、『角川 俳句』二月号『八月』小 特集の新作12句「風の橋」も同じように角角しい。 『夏潮』が、おとなし 過ぎるのは、主宰のやさしさだろう。 虚子に学べ、と言いたい。 虚子は、 客観写生を言いながら、いけしゃあしゃあと、主観の権化のような句を『ホト トギス』に出していた。

 私は安東次男に師事したが、〈面白う雪に暮れたる一ト日かな〉という句を出 したら、安東が〈面白う雪に暮れたり(?)鼓せん〉と直した。 自分の方が 断然いいので、元に戻した。 2004年に45歳で亡くなった田中裕明は、生涯 でたった一度、角川俳句賞を取った際、師の波多野爽波選に落ちた句ばかりを 出した。  俳句は、自分を発見し、(自己主張から離れて)自分から自由になる手段であ る。 そのように、高橋睦郎さんは話した。

 本井英主宰は、宴会を締める挨拶で、高橋睦郎さんの祝辞に関連して、会員 は「わがまま」に、「試し」てもよい、「それぞれの人に、それぞれの道がある」 と、述べた。

 新年会恒例の宝くじの番号を使った福引で、何と私は一等賞、本井英主宰の 色紙〈都鳥ちょぼと黛刷いたりな〉をいただいた。 この句は長谷川櫂さんが 読売新聞12月5日の「四季」欄で取り上げたと聞く。 春から縁起良く「ハ ッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」の大「万歳」であった。