楽ではない「新しい人生」の選択2010/02/22 07:00

 空港のバーでの、アメリカ人ハーヴェイとイギリス人ケイト。 それぞれに 落ち込んでいる同士の、相手の状況が見えて、からかい合う、辛辣でストレー トな会話。 ハーヴェイは、イギリス人は冷静で感情を表に出さない「硬い上 唇“a stiff upper lip”」じゃあないのかとからかい、その唇の形をして見せる。  ケイトは、ダイアナ妃が亡くなった頃から、イギリス人は変った、それはアメ リカ人の影響だ、と言う。 しだいに会話が弾み、ランチを共にして、楽しい 時間を過す。

 最近ロンドン風景は、この映画の見どころの一つだ。 国立劇場カルチャー センターの小説教室(老作家が自作のセックス・スリラーを朗読する)へ行く 電車に乗ったケイトを、ハーヴェイが追いかけて来る。 話を聞いたケイトは、 ハーヴェイに娘の結婚披露宴に出ることを勧める。 ハーヴェイはケイトにも 来て欲しいと頼み、ふたりでケイトのドレスを選んで、友人ということで参加 する。 「乾杯の音頭は花嫁の父」と妻の再婚相手が紹介されたのを、さえぎ ったハーヴェイのスピーチには、泣かされた。 「両親の離婚を通じて、娘は 自立した女性に育ってくれた」と言って、乾杯の音頭を義父に譲る。 ダンス をして披露宴を楽しんだハーヴェイとケイトは、サマセット・ハウスの噴水広 場で朝まで語り明かし、12時の再会を約して別れるのだが…。

 面倒な人間関係にかかわることになる「新しい人生」に、一歩踏み出すかど うか、ケイトは「諦めて生きるほうが楽」と泣く。 『新しい人生のはじめか た』を観て、Cさん、Sさん、Aさんと、身近に「アラ還」で「新しい人生」 を始めた人のいることを思い出した。 その心情と、周囲との軋轢などさまざ まな困難や障害の大変さに、思いを馳せたことであった。