茅葺き屋根の上の草花2011/09/27 06:46

 藤森照信さんといえば、私などは南伸坊さんや赤瀬川原平さんなどと始めた 「路上観察学会」のメンバーとしてお名前を知った。 やがて東大の先生で、 近代建築史の研究者であることがわかってきた。 ジョサイア・コンドルなど による近代建築にくわしい建築探偵として、写真集なども出、テレビでよくお 見かけした。 そのうちに建築家としての実作にも手を染め、ご出身の諏訪、 長野県茅野市の神長官守矢史料館、赤瀬川原平邸「ニラ・ハウス」、先日川下り 事故のあったあたり浜松市天竜区二俣の秋野不矩美術館といった木造や草葺き の建物を設計したことが話題になった。

 『フジモリ式建築入門』という本が、ちくまプリマー新書から出た。 帯に 「建築ってなんだろう?」「日本とヨーロッパでの、ダイナミックな進化の歴史 をたどり、その本質に迫る!」とある。 「日本の住宅」の章に、「住宅とはな にか?」というのがある。 「民家は、神殿や教会とちがい、時代や時代の思 想の及ばない普通の人々の無意識の世界と深くつながっている」として、「建築 は記憶と美の器」「民家は生活と無意識の器」だという。 藤森さんが、「民家 が無意識とつながっている証拠」として示したのが、日本の“芝棟(しばむね)” だ。 草葺き民家の屋根のてっぺんにイチハツ(矮性アヤメ)、ユリ、イワヒバ、 キキョウなどの草花を植え、大事に育てる習いが昔からあり、東日本を中心に 雪国をのぞく全国各地に広く分布した、という。 そして、全く同じ“芝棟” がフランスのノルマンディ地方にも分布しているのだそうだ。 マリー・アン トワネットの例のヴェルサイユ宮殿の擬似田園、アモーの田舎家の茅葺きにも …。

 “芝棟”と呼ぶことは知らなかったが、茅葺き屋根の上の草花で、私が思い 出したのは、横浜の先、保土ヶ谷のアヤメだった。 子供の頃に、東海道線や 横須賀線からか、そばの道路を通った車からか、確かに見たことがあった。

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