「夏霞」と「薪能」の句会 ― 2024/05/15 06:55
9日は『夏潮』渋谷句会だった。 兼題は「夏霞」と「薪能」、私はつぎの七句を出した。
夏霞ぬつと現はれクルーズ船
沖合にタンカー二隻夏霞
丹沢の先に富士無く夏霞
幽かなる隣の古墳夏霞
薪能やうやく暮れて佳境入り
薪能南大門を浮き立たせ
後背の闇の深さや薪能
私が選句したのは、つぎの七句。
舟を下りて沖見る日々や夏霞 英
ぽつちりと利島はありぬ夏霞 英
滝の音響くばかりや夏霞 孝子
風湿り雨の気配や薪能 和子
薪能夜風に揺るる垂(シデ)の白 美保
薪能果てたる月のさやけさよ 伸子
爆ぜる音さやかに添へて薪能 孝子
私の結果。 <夏霞ぬつと現はれクルーズ船>を英主宰と孝治さん、<沖合にタンカー二隻夏霞>を英主宰とななさん、<薪能やうやく暮れて佳境入り>を幸枝さん、<薪能南大門を浮き立たせ>を淳子さん、<後背の闇の深さや薪能>を孝子さん、孝治さん、幸枝さんが採ってくれた。 主宰選2句、互選7票、計9票、前月に続いてまずまずの成績だった。
主宰の選評。 <夏霞ぬつと現はれクルーズ船>…上五に、「に」を入れるとリアリティが増す。「クルーズ船」は二、三十年前までなかった言葉、コロナ騒ぎですっかり定着。船の形が、デッキが沢山あっておかしいので、それと判る。洵にうまい。 <沖合にタンカー二隻夏霞>…不思議な句だが、誠実でよくわかる。タンカーも、形で判る。シルエットで判るところが面白い。
主宰は、検査入院をなさったばかりで、近日手術というのに、渋谷句会にお出でいただき、丁寧な選評をして下さった。 最近、「タイパ」「タイムパフォーマンス」という愚劣な言葉があり、かけた時間に対する効果を言うのだろうが、句会とは反対のものだ。 句会は、印刷したものを配ったりせず、参加者がその場で清記する無駄な時間を使い、その清記を回して選句する。 だらだらとした時間、自分の句が披講されているのに気がつかないで、他の人が気付いたりする(私の句<後背の>を主宰が気付いた実話)。 披講をしてくれる和子さんが上手いので、痛快極まりない。 いろいろな句を聞いて、俺の句の方がよいとか、さまざまな思いに、うっとりする。 和子さんには、長生きしてもらいたい、と。
その和子さんだが、主宰と俳誌『夏潮』の校正を共になさり、学生時代からを知られているようで、主宰に遠慮のないところもあって、何度もの手術を無事に潜り抜けてきた主宰に、このたびの大動脈置換も無事にすますと不死身の「常陸坊海尊」になると、話したらしい。 「常陸坊海尊」、衣川の合戦の折、義経の家来数人と山寺を拝みに出ていたために生き延び、不老長寿の身となって、江戸時代初期まで400年ぐらい源平合戦や義経伝説を見てきたように語っていた、と伝えられている。 主宰はにこやかに、この「常陸坊海尊」の話をされたが、手術の無事成功を切に祈りたい。
夏霞ぬつと現はれクルーズ船
沖合にタンカー二隻夏霞
丹沢の先に富士無く夏霞
幽かなる隣の古墳夏霞
薪能やうやく暮れて佳境入り
薪能南大門を浮き立たせ
後背の闇の深さや薪能
私が選句したのは、つぎの七句。
舟を下りて沖見る日々や夏霞 英
ぽつちりと利島はありぬ夏霞 英
滝の音響くばかりや夏霞 孝子
風湿り雨の気配や薪能 和子
薪能夜風に揺るる垂(シデ)の白 美保
薪能果てたる月のさやけさよ 伸子
爆ぜる音さやかに添へて薪能 孝子
私の結果。 <夏霞ぬつと現はれクルーズ船>を英主宰と孝治さん、<沖合にタンカー二隻夏霞>を英主宰とななさん、<薪能やうやく暮れて佳境入り>を幸枝さん、<薪能南大門を浮き立たせ>を淳子さん、<後背の闇の深さや薪能>を孝子さん、孝治さん、幸枝さんが採ってくれた。 主宰選2句、互選7票、計9票、前月に続いてまずまずの成績だった。
主宰の選評。 <夏霞ぬつと現はれクルーズ船>…上五に、「に」を入れるとリアリティが増す。「クルーズ船」は二、三十年前までなかった言葉、コロナ騒ぎですっかり定着。船の形が、デッキが沢山あっておかしいので、それと判る。洵にうまい。 <沖合にタンカー二隻夏霞>…不思議な句だが、誠実でよくわかる。タンカーも、形で判る。シルエットで判るところが面白い。
主宰は、検査入院をなさったばかりで、近日手術というのに、渋谷句会にお出でいただき、丁寧な選評をして下さった。 最近、「タイパ」「タイムパフォーマンス」という愚劣な言葉があり、かけた時間に対する効果を言うのだろうが、句会とは反対のものだ。 句会は、印刷したものを配ったりせず、参加者がその場で清記する無駄な時間を使い、その清記を回して選句する。 だらだらとした時間、自分の句が披講されているのに気がつかないで、他の人が気付いたりする(私の句<後背の>を主宰が気付いた実話)。 披講をしてくれる和子さんが上手いので、痛快極まりない。 いろいろな句を聞いて、俺の句の方がよいとか、さまざまな思いに、うっとりする。 和子さんには、長生きしてもらいたい、と。
その和子さんだが、主宰と俳誌『夏潮』の校正を共になさり、学生時代からを知られているようで、主宰に遠慮のないところもあって、何度もの手術を無事に潜り抜けてきた主宰に、このたびの大動脈置換も無事にすますと不死身の「常陸坊海尊」になると、話したらしい。 「常陸坊海尊」、衣川の合戦の折、義経の家来数人と山寺を拝みに出ていたために生き延び、不老長寿の身となって、江戸時代初期まで400年ぐらい源平合戦や義経伝説を見てきたように語っていた、と伝えられている。 主宰はにこやかに、この「常陸坊海尊」の話をされたが、手術の無事成功を切に祈りたい。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。