正しい「藤原一枝先生の講演」2005/09/11 08:09

 6日の日記に書いた、藤原一枝先生の講演「わらべ歌から痛みを考えると」、 (医学的な部分は、聴いている私に理解力不足があり、間違いがあるかもしれな い)と断っておいたが、やはり「故障が入った」。 医学的な部分だけでなく、 カラスの部分も…。 ありがたいことに、講演者藤原一枝先生ご自身からご指 摘いただいたので、紹介して、私の聞き間違いを訂正しておく。 福沢たちが 始造した演説(講演)が、今日の段階で、どう伝わるかという一つの事例だとい えるかもしれない。 <小人閑居日記>は、その程度のものだと、これからも 眉につばをつけてお読み願いたい。 

 A:カラスの鳴き声

奈良時代 「から」か「ころ」 今のカラスは、奈良時代の鳴き声に由来。

平安時代 「かか」

鎌倉・室町時代 「こかこか」「こかあこかあ」

江戸時代以後 「かーかー」

 B:痛みの話

痛みは、傷のある末梢から、脊髄・脳へと伝わる。

痛みを伝える神経は、

 危険を早く伝える太い神経(12-30m/秒)

 ゆっくり伝える細い神経(0.5-2m/秒)がある。

この遅いほうの神経が、難治性(慢性)疼痛と関係している。 最近の痛みへの対処法は、「急性の傷の痛みは、早く止めないと、長引くこと がある」「我慢せず、痛み止めは、(食後の指示に関係なく)早く飲む」という考 え方をする。  局所や全身麻酔をしても、痛みは(当然ながら、勝手に)脊髄や脳に伝わって、 記憶するので、最近の大きな手術では、(痛みを脊髄や脳に伝えないように)神 経ブロックや脊髄硬膜外麻酔を、手術前から、手術後1週間くらいは使ってい る。傷が治っているのに、半年以上続く痛みは特殊で、難治性になっている。 さきのゆっくり痛みを伝える神経のほうに、異常が起こっていて、そこに「傷」 がないのに、たとえば音や臭いや風によって、痛みを脳の中で感じてしまうこ とがある。

 C:さすってやることによって、

 脳・脊髄や、皮膚の下にある鎮静効果のある物質(モルフィンのような役割) が分布したりすることや、触覚を伝えるさらに太くて早い神経(60-120m/秒) が、痛覚を伝える2種類の神経を抑える効果が発揮されたりしているそうだ。