『星の王子さま』旧訳と新訳 ― 2006/02/05 07:04
先月の21日、池澤夏樹さんの講演を聴きに行く予定にしていた。 以前、 司馬遼太郎さんの菜の花忌で話を聞き、とてもよかったからだった。 それが 例の雪の日で、ついおっくうになって出かけなかった。 演題は、『星の王子さ ま』の新訳と、最近書かれた本についてだったのだが…。
それで『星の王子さま』の新訳(集英社)と、内藤濯(あろう)さん訳の岩波書店 版(ハードカバーの1962年刊、1998年第66刷改版)を図書館で借りてきて、読 み比べてみた。 正直にいえば、内藤濯さん訳も初めて読んだのだった。 サ ン=テグジュペリ(池澤本は、サンテグジュペリ)は、学生時代のフランス語で『人 間の土地』を少し読んだような、かすかな記憶がある。
内藤濯訳で「ウワバミ」「けんのん」「ぼっちゃん」「場所ふさぎ」「ヨボヨボ」 「呑み助」「実業屋」「あきんど」となっている言葉が、池澤夏樹訳では「ボア という大きなヘビ」「危ない」「子供・王子さま」「場所を取る」「すごく年寄り」 「酒飲み」「ビジネスマン」「商人」となっている。 内藤訳の「飛行機がサハ ラ砂漠でパンク」「パンクというのは飛行機のモーターが、どこか故障をおこし たのです」が、池澤訳で「サハラ砂漠で飛行機が故障」「つまりエンジンのどこ かが壊れたのだ」。
さわりの部分。 内藤訳「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってこ とさ。かんじんなことは、目には見えないんだよ。」 池澤訳「ものは心で見る。 肝心なことは目では見えない。」 内藤訳「飼いならす」って、「仲よくなる」 こと。 池澤訳「飼い慣らす」って、「絆を作る」こと。
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