行列のできるケーキ店 ― 2006/03/10 07:03
暖かい日で助かった。 8日の朝、行列に並んだ。 落語の券ではない。 ケ ーキ屋さんである。 10時からの開店だというので、10時半なら、まだ空い ているだろうと、たかをくくって行った。 喫茶が出来る(イート・インといつ ていた)店内はもういっぱいで、外に20人ほどの人が、並んでいた。
1月24日、NHKテレビの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組 が、杉野英実(ひでみ)さんというケーキ職人(パティシエ)を紹介した。 52歳、 経験33年。 少年の日に食べたケーキに感激して、この道に進む。 ホテル・ オークラに入ったが、20代でフランスに修業に出た。 有名な菓子店では雇っ てもらえず、地方のホテルの厨房でなんでもやりながら、これはと思ったパテ ィシエに何度も手紙を書く。 ついにペリエ(だったかな)に入れた。 そこで は、当り前のことが、当り前にやられていた。 レシピは、ル・ノートルとい うケーキ学校のそれと、同じだった。 「当り前が、一番むずかしい」と悟っ た。 ずっと神戸・北野で店をやっていて、二、三年前、京橋の路地裏に出て きた。 店の名はHがサイレントで、「イデミ・スギノ」。
番組は、一日に生菓子300個を限定でこだわってつくる杉野英実さんの姿を 追った。 味に関する部分は、全部、自分ひとりでやる。 けして、手を抜か ない。 冷たい手で触らなければならないものは、氷水で冷やした手で作業す る。 素材を選び、徹底して生かす。 飾りつけや焼きなどを補助する、弟子 たちは怒られっぱなしだ。
忍耐強い行列だった。 私のような閑人でなければ、とても付き合えない。 男も多い。 偵察の業者や専門家もいるようだった。 店の中に入れたのは、 1時間後だった。 生菓子は、一家族6個まで。 単価530円(税込み)。
そこで、食べた感想。 一つ一つ心を込めて、ちゃんと作ってある感じがす る。 それぞれの素材の味を、はっきり引き出している。 行列しながら、辛 党に笑われそうだなと思ったが、リキュールやブランデーだろうか、お酒の味 と香りが、かなり濃い。 けれども全体としては、さっぱりしていて、ごてご てした感じはない。
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