わが選句と、「春雨」「燕」について2010/03/19 06:51

 「春雨」と「燕」の句会での、私の選句。

春雨にほどよく老(ふ)けて下足番   英

春雨のそのまま夜雨となりにけり    和子

やはらかに濡れゆく伽藍春の雨     梓渕

ほろ酔ひの街の灯りや春の雨      さえ

今年また軒はなくても燕来る      淳子

くるりくるり燕の空になりしかな    良

キャンパスの奥に学寮燕来る      なな

 主宰には別に〈春雨を仰ぎ戻りて下足番〉という「今日の(自選)一句」も あった。 梓渕さんの〈やはらかに濡れゆく伽藍春の雨〉を評して、巧い句、 「伽藍」の音がいい、大きな寺の全体、その措辞によって大景が描けた、と。

 都築華さんの季題研究から。 「春雨」で浮ぶ三つ。 1.「春雨じゃ濡れて ゆこう」は、行友季風作の新国劇『月形半平太』で、傘を差し掛ける舞妓に言 うセリフ。 2. 代表的な端唄「春雨」、幕末から流行し、誰もが知っていた。 「春雨にしっぽりぬるる鶯の、羽風に匂ふ梅が香や……」「サアサ何でもよいわ いな」 3. 文部省唱歌「四季の雨」大正6年「降るとも見えじ春の雨」 私 は、2. と3.を知らなかった。

 宮川幸雄さん(鳩レース協会)の季題研究から。 「燕」の帰巣は「双方向」 A←→B、「鳩」の帰巣は「全方向」。 「鳩」の帰巣本能には、「太陽説」があ り、レースは晴れた日にしかやらない、雲の中の飛翔は匂いを感じる「大地大 気説」で補強。 「燕」は「大地大気説」が当てはまると考えられる。 「若 い燕」は、平塚らいてうより5歳下の画家・奥村博史が、平塚の運動の邪魔に ならぬように一時身を引いた際、自らを「水鳥たちが遊ぶ池に迷い込んだ若い 燕」と表現したことに由来する(後に、夫となる)という。