一之輔の「鈴ヶ森」2010/04/02 06:41

 3月31日は、第501回落語研究会だった。 新しい定連席券を受け取るの で、早目に国立小劇場に行ったら、劇場前の桜がきれいだった。 2007年の行 列で見た立派な駿河桜は根に菌が付いて、次の年に枯れたそうで、若木になっ ていた。 牧野富太郎博士命名という仙台屋や、ソメイヨシノより濃い紅色を した神代曙(じんだいあけぼの)が素敵だった。

 「鈴ヶ森」     春風亭 一之輔

 「お茶汲み」    古今亭 志ん丸

 「花筏」      春風亭 昇太

       仲入

 「ふだんの袴」   柳亭 市馬

 「百年目」     入船亭 扇遊

 一之輔、少しふてくされた出。 去年もこの時期に出たが、気候も同じ花が 咲くか咲かないか迷う寒さで、落語研究会の二ッ目への反応と同じだ、と。 師 匠の一朝は、礼儀に厳しく、車代をもらったあくる日、お礼を言わなかったら 怒られ、つい「施しをありがとうございました」と言ってしまったという。 そ の師匠、打上げで「シー・シェパード」の話になったら、「カンガルーを食って いる奴等には言われたくない」と言った。 浅草寺に入った賽銭泥棒、門で仁 王に踏み潰され、「プー」とやり「曲者」「におうか」の小噺が受けて、「これが ピークかもしれません」と。

 「鈴ヶ森」は、泥棒の親分が、あっしだって、まんざら「馬鹿」じゃないと いう間抜けな見習いに、追い剥ぎのやり方を伝授する噺。 泥棒の支度、顔に 髭を描けと言われて、立派なやつを描き、お前は大久保利通か、鼻の下を黒く 塗ればいいんだ。 符牒、舅(しゅうと)というのは「犬」、どちらも口うるさ い、「ドス」はドッと刺して、スッと抜くから「ドス」。 その「ドス」を「の んどけ」と言われて、「オブラートを」。 脅し文句を「口移しに教えてやる」 の、路上の「口移し」で「公安委員長」が出て来た。 聞き取れず「パードン ?」というのや、暗くて恐いから手をつないでくれといい、親分と手をつなぐ のも可笑しかった。 泥棒より本当は家で本を読んでいる方がいい、『こころ』 を読みかけていて、こんどは『三四郎』だ(この順番はヘンだが)かというあ たりに、笑いの源泉である「知の匂い」がした。 前座の持ち時間を意識した のか、唐突で、ちょっと急いだ終わりが残念だった。

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