白金台の小さな美術館2010/06/14 06:36

 白金台の小さな美術館が、なかなか大したものだった。 「モネ・ルノワー ルと印象派・新印象派展」(9月26日まで)の招待券を頂いたので見に行った のだ。 松岡美術館、名前だけは聞いていたが、どこにあるのか、松岡さんが どういう人なのか、知らなかった。 創立者松岡清次郎(明治27(1894)- 平成元(1989))氏は、築地に生まれ中央商業を出て貿易商に入ったという から、父の17年先輩になる。 父が生きていたら、ぜひ見せたい美術館だと 思った。 2000年にはこの地で開館していたという。 戦後不動産、冷凍倉庫、 ホテル業で財を成し、中国陶磁から入って、古代エジプト、ギリシャ、ローマ の古美術、ガンダーラ・インド彫刻、さらに明清の絵画、日本画、フランス印 象派絵画、現代彫刻にまで蒐集の手を広げる。

 自然教育園の裏手、外苑西通り(近年、不埒な人はイネーゼなのにプラチナ 通りと呼ぶ)をずっと進み、東大医科研病院西門を右に見た所を、左に入った 所にある。 立派な建物に入るとブロンズ彫刻、ブールデルの「ペネロープ像」 (1912)、ヘンリー・ムア(私はムーアと言っていた)「横たわる女、肘」(1982)、 「台に坐る母と子」(1983)が巨大なのに驚く。 柔らかいヘンリー・ムアは 好きだ、巨大でも柔らかい。 古代エジプトのミイラが入っていたのであろう、 彩色されたお棺に、ギョッとする。 インド中世ヒンズー教神像彫刻がたくさ んあり、なんとも官能的で、去年の秋に読んだミルチャ・エリアーデ『マイト レイ』を思い出す。

 ここまでが1階の常設展、階段から見える小さな庭も綺麗で、2階はまた明 日。