入船亭遊一の「元犬」 ― 2010/07/25 05:51
21日は第505回の落語研究会。 先日、瀧川鯉昇さんの会を企画した内藤さ んとお友達にも聴いていただくことが出来た。 内藤さんは慶應中等部在学中 に定連席券を持っていて、定期試験中に聴きに来ていたら、同じく定連だった 先生に「お前は帰って勉強しろ」と言われたことがあったという長い落語愛好 者だ。
「元犬」 入船亭 遊一
「お見立て」 立川 生志
「長者番付」 柳家 小満ん
仲入
「転失気」 柳家 喬太郎
「唐茄子屋政談」 柳家 権太楼
濃い眉の遊一は、今日は「小さん一門会」のようだ、自分は小さんの曾孫弟 子だから、一番DNAが薄いといった。 このところの落語研究会は、しばし ば「小さん一門会」の趣を呈する。 そういえば、上方からの来演もない、と 気づく。 目白の小さん師匠宅の大掃除で、扇遊の弟子と紹介されると、「オッ」 と言われた。 台所の網戸を洗おうとしたら、なかなか外れない。 ガタガタ やっていると、小さん師匠が金槌を持ってやって来て、二発叩いたら、簡単に 外れた。 さすが、人間国宝の技は違う、と思った。
動物の噺を演る時は、タヌキならタヌキの料簡になって演らなきゃあいけな いと、教わった、と「元犬」に入る。 三七、二十一日、八幡様に裸足参りを して、人間になった白、顔を知っていた口入屋の上総屋さんに羽織を借りたが、 羽織を着たことがない、前座みたいな人だな。 上総屋に上がるのに足を洗え と言われ、雑巾を口にくわえて振り回す。 そのへんを拭けと言われて、四つ んばいは、いい形になる。 二升の飯を食って、変わった奉公人が欲しいとい う隠居のところへ。 名前は?、白、白吉や白太郎でなく、ただの白、忠四郎 か、いい名だな。 年は?、三歳、三歳ってことはなかろう。 生まれは?、 八百屋と乾物屋の間、あそこは私の家作だが、奥の掃き溜め、謙遜して偉いな。 父親は酒屋のぶちという噂、母親はどこかからきた雄にくっついていなくなっ た。 兄弟も死んで、天涯孤独。 茶を入れろ、鉄瓶がちんちんいっているだ ろで、ちんちんし、焙炉(ほいろ)を取ってくれで、吠える。 まるで、犬じ ゃあないか、えー、今朝ほど人間になりました。
遊一、前座らしくというか、ばかに遠慮深く、女中の「もと」も出さずに、 短く「元犬」を演じた。 20分。 思い当たる節があった。 5月に「辰巳の 辻占」を演った鯉昇さんがBRBで、4月の小三治の「ま・く・ら」三連発によ る終演時間の遅れに、劇場側から苦情が出たという話をしていたからだ。
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