「凩」と「大綿」の佳句たち2011/11/19 04:43

 「凩」と「大綿」の句会で、私が選句したのは次の七句。

池蹴つてゆく凩の見ゆるかな       英

凩に子さらいひそむ気配あり       さえ

凩やプレハブ事務所灯が点る       やすし

木枯の声ひゆるひゆるとビル住ひ     なな

凩や両手にさげる鍋具材         淳子

積まれたる薪の高さを雪螢        ひろし

大綿のふわりふわふわ肩につき      淳子

 私は七句に採れなかったが、次のような佳句もあった。

木枯に夕餉いささか早まりし       ひろし

シリウスが光り凩吹き募る        梓渕

木枯や石けりの石そのままに       さえ

凩の空煌(かがや)ゐて信濃かな      幸雄

復元の足軽長屋白ばんば         英

攫(さら)はんとすれば大綿くらと揺る    英

綿虫や最終バスは五時五分        ひろし

 主宰の選評から。〈凩に子さらいひそむ気配あり〉…メルヘンの世界。風の音 に心を傾けている内に、現実から離れる不安感。 〈凩やプレハブ事務所灯が 点る〉…工事現場、どんな建物か色合いその他まで、誰にも像を結びやすい、 伝わりやすい、得な素材。「分団」「猫車」「軽トラ」などの例がある。 〈積まれたる薪の高さを雪螢〉…これから薪を使う、積み上げられた段階。1メート ル5、60か、うまい。 〈木枯に夕餉いささか早まりし〉…うまい句。ある暮 しの感覚、急に寒くなって万事に前倒しになる。 〈シリウスが光り凩吹き募 る〉…青く、大きい。「研ぎ澄まされて」などといってしまうと、臭くなる。 〈綿 虫や最終バスは五時五分〉…日が暮れている。五時五分、日に一、二本という 本当の田舎ではない。