菊之丞の「片棒」2011/11/28 04:16

菊之丞のマクラにも、偶然だが「家元TD」、立川談志が出て来ていた。 白 い顔が目立つ菊之丞、真打になって8年だという。 来年、抜擢の真打昇進が あり、春には春風亭一之輔(一朝門下)が一人、秋には古今亭朝太(志ん橋門 下)と、28人抜きで古今亭菊六(圓菊門下)が真打になる。 週刊誌が「小三 治政治に、若手の不満爆発!」と書いたが、菊之丞は週刊誌を信用しないと言 う。 8年前に「落語家ホモ列伝」というのがあって、イニシャルで書いてあ ったが、「家元TD」、誰だって立川談志師匠とわかる。 「今度、真打になっ たKKは……」と事実無根の話、私は週刊誌を信用しない。

菊之丞、「三ぼう」から、けちの「扇子」、鰻屋がニオイの勘定を取りに来る、 皆がよくやる小噺から入る。 赤螺(あかにし)屋の、アカニシがなかなか殻を 開かない貝で、和倉温泉で食べた、というのが新しいくらい、一工夫必要だろ う。 東京は見栄っぱり、割り切っているのが、大阪、名古屋。 東京は「〆 ていくら」、大阪は「わりもん」、名古屋は「払ってくれた人に何とお礼を言お うか考える」。 これを名古屋でやったら、「そんなことは、当たり前だニャア モ」

「片棒」は、赤螺屋吝嗇兵衛(けちべえ)さんが、金、銀、鉄、意高、モト タカはお向かいの紙屋の若旦那か、金使いが荒い…、三人の息子を試すために、 自分の葬式をどう出すか訊ねる噺。 金は、盛大な通夜を二晩、お寺は大きな 増上寺か本願寺。 それ相応の料理屋で、ご婦人にはお土産をお持ち帰り頂く、 本塗りの漆の重箱に入れ、丹後縮緬のフルシキに包む。 ご遠方の方にはお車 代を二円と聞いて、吝嗇兵衛さん、私が行きたいよ。 予算は一人百円、三千 五百人分と聞き、いったい幾らかかるんだ、と。

 銀は、軽い調子で、破天荒、未曾有、色っぽい弔いをやろう、という。 紅 白の幕を張り、頭連中の木遣りの先導で、手古舞、新橋、葭町、柳橋の芸者衆、 シャンコン、シャンコンと練り歩く。 次が山車で、上にはお父ッつァんそっ くりの人形、手にソロバン、いかにも因業な、こんな顔(と、やって見せ)、神 田囃子が七人、スケテンテン、ピーヒャラ、人形が仕掛けで動く。 神輿を出 そう、お骨が入っているので、隣町の連中に取られないようにする。 ワッソ ー、ワッソー、テンツク、テレツク、テンテン。 うるさいよ。 花火屋が花 火を上げて、一同「バンサーイ」

 鉄は、しょうがないから弔いを出す、という。 出棺を10時と知らせてお いて、実際には8時に出棺。 皆さん、お帰りになるから、料理も出さない。  棺桶も菜漬の樽にする、親コーコー、臭い物には蓋。 棺桶に詰めるもの、売 ってるよ。 新聞紙でご辛抱願います、蓋はします?  担ぎ手は、人足を雇 うのだろう?  お父ッつァんのお言葉とも思えません、私が担いで、もう一 方は人足を雇う。 そんな無駄なことを…、お父ッつァんがかついでやる。