大河ドラマ『花燃ゆ』不振の原因を勘繰る2015/12/23 06:27

 大河ドラマ『花燃ゆ』が終わった。 視聴率が2012(平成24)年の『平清 盛』(松山ケンイチ主演)と並んで、悪かったそうだ。 主人公・杉文から楫取 美和になった井上真央は、奮闘努力の甲斐もなく、紅白歌合戦の司会にならな かった。 『花燃ゆ』のどこが悪かったのだろうか。

 幕末から明治というのは、面白い時代で、歴代大河ドラマ54本の内、第1 作1963(昭和38)年の『花の生涯』(井伊直弼・尾上松緑)以来、『三姉妹』 『竜馬がゆく』『勝海舟』『花神』『獅子の時代』『翔ぶが如く』『徳川慶喜』『新 選組!』『篤姫』『龍馬伝』『八重の桜』と13本ある。 戦国時代の17本に次 いで多い。 三位は元禄を中心とした江戸時代中期の11本だ。

 『花燃ゆ』は、幕末から明治の激動の時代を、それを動かした男たちではな く、陰で支えた女性から、それも今まで名前も知られていなかった吉田松陰の 妹文から描こうとしたところに無理があったのかも知れない。 一昨年の『八 重の桜』(新島八重・綾瀬はるか)も同じような条件だったが…。 もう7年 も前になる2008(平成20)年の『篤姫』(天璋院篤姫・宮崎あおい)は、幕末 大河ドラマ最高の視聴率だったそうだから、女性主人公だけが悪いわけではな いようだ。

 以下は、閑居老人の下種の勘繰りである。 『花燃ゆ』は長州藩のドラマだ った。 長州、山口県は安倍首相の出身地だ。 NHKに政権におもねるとこ ろはなかったのか。 多くの聴取者が、そうしたかすかな臭いを感じたのでは ないだろうか。 首相は演説などで、しばしば吉田松陰の言葉を引用してきた。  7月、明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録された中に、なぜか松下村塾 も含まれていた。 松下村塾は、高杉晋作・久坂玄瑞・前原一誠・山県有朋・ 品川弥二郎・伊藤博文らを輩出し、尊攘討幕派の拠点となって、明治維新に大 きな影響を与えたが、直接産業革命に結びつくものではない。

 安倍政権の成長戦略「三本の矢」の一つに「女性が輝く日本へ」というのが あった。 杉文の楫取美和が力説していたのも、そんな線に添っていたと言っ たら、考え過ぎだろうか。 教訓的な、メッセージの強い、あんまり押しつけ がましいのは、敬遠されるのだ。

 私は2月3日の当日記「『花燃ゆ』の吉田松陰像は?」に、こう書いた。 長 野のFさんが送って下さった昨年12月28日の信濃毎日新聞のコラム「斜面」 の「松陰―松下村塾―領土拡張鼓舞―門下の手で実践―太平洋戦争」「安倍首相 ―松陰を理想像―(NHK)『花燃ゆ』―へつらい?」という図式は、ちょっと うがち過ぎのような気がする、と。 しかし、『花燃ゆ』が終わって、視聴率不 振の全体を見てみると、視聴者が「へつらい」の臭いを敏感に察知していたの かも知れないと思われてきた。

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