日銀、大規模金融緩和策を修正2018/08/13 07:15

 8月1日の新聞朝刊各紙は、日本銀行が7月31日の金融政策決定会合で、大 規模な金融緩和策の修正に踏み切ったことを報じた。 一定の金利上昇を容認 し、株高を支えている上場投資信託(ETF)の買入れを見直す。 金利の下が りすぎや株価のゆがみといった緩和の副作用が無視できないためだという。

 緩和策の中心となる長期金利操作(金利を抑えるために市場で国債を買う調 節)では、金利を0%程度に誘導する方針は変えないが、事実上の上限を現在 の0.1%から、「倍程度」(0.2%)までの変動を容認する姿勢だ。

 ETFの買入れでは、日銀が個別企業の大株主になるような悪影響を減らすた め、比較的構成銘柄が少ない日経平均連動の投信の買入れを減らし、上場企業 に広く影響する東証株価指数(TOPIX)連動の投信の買入れを増やす。 年約 6兆円の買入れ額は、「上下に変動しうる」とした。

 今回下方修正した物価上昇率見通しは、来年度が前年度比1.5%、20年度は 1.6%で、目標の2%に届かない。

 無視できなかった副作用は、つぎのようなものだ。 金融機関は長引く低金 利で貸し出し収益の悪化に苦しんでおり、特に地方銀行が深刻で、金融庁によ ると18年3月期決算で地銀の半数程度が本業で赤字だった。 年金や積立保 険の運用難による老後資金への不安も続いている。 金利をある程度上向かせ る政策修正で、こうした悪影響の軽減につなげようというのだ。 国債を取引 する債券市場でも、日銀が国債発行額の4割超を買い占め、民間同士の取引は 減った。 長期金利の指標となる新発10年物国債の取引は、今年は6回も売 買が成立していない。

 大規模緩和の開始から5年、大量のお金を流し込んでも、物価があがらない と分かったのに、政権と約束した「2%」を見直して無理な緩和はやめるとい う選択肢は議論もされていない、という批判がある。