『ひゞのをしへ』桃太郎の話〔昔、書いた福沢128〕2019/10/15 07:06

    『ひゞのをしへ』桃太郎の話<小人閑居日記 2001.12.14.>

 ハラダさん、池澤夏樹の「静かな大地」に福沢諭吉の桃太郎の話が出てくる のを、教えていただいて、ありがとうございました。 私はこの連載小説を読 んでいないので、教えていただかなければ、気がつかないところでした。

 「もゝたろふが、おにがしまにゆきしは、たからをとりによくといへり。け しからぬことならずや。」 福沢のこの文章には、高校生の時に出合い、へぇー 福沢って面白いんだと、実感した、大好きな一節です。 書き出して、教室の 前に貼りだしておいたら、友達も先生方も読んでいましたが、みんなこれは福 沢ではなく、馬場が書いたのだろうというのです。 日頃のいたずらや新聞部 にいたことなどから、そういうことになったのですが、ちょっぴり光栄でもあ りました。 福沢としては、桃太郎を例にして、近代的な法とか、法治国家の 概念を、教える意図があったかと思います。

 『ひゞのをしへ』は、福沢諭吉が明治4年に、長男一太郎(満8歳)、次男捨 次郎(6歳)のために、加賀半紙を四つ折りにした帳面を一冊ずつ与え、毎朝、 食後に書斎に持ってくれば、何か書いてやると言い、実行して出来たものです。  最初の日は、「おさだめ」でした。 それを書いておきます。

一、うそをつくべからず。

一、ものをひらふべからず。

一、父母にきかずしてものをもらふべからず。

一、ごうじゃうをはるべからず。

一、兄弟けんくわかたくむよふ。

一、人のうはさかたく無用。

一、ひとのものをうらやむべからず。