慶應義塾が名誉博士号を授与したEU委員長 ― 2025/11/14 07:06
7月28日の慶應義塾のX(旧ツイッター)で、7月23日に欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏に、三田の演説館で慶應義塾大学名誉博士号を授与したことを知り、スピーチのさわりも聞いた。 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は、その直後27日には、スコットランドを訪れていたトランプ米大統領と会談し、欧州連合(EU)と米国との関税を一律15%とすることで大筋合意していた。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州連合(EU)委員長は、主要な国際会議などのニュースで、いつも、その中心に同氏の姿を見るが、どういう経歴の人か知らなかった。 『三田評論』11月号「講演録」にスピーチの全訳が出ている。 ドイツの国防大臣などを務めた後、2019年に欧州委員会委員長に選出された。
もともとは医師としてキャリアを歩み始めたが、30年前、公衆衛生学の修士号を得るために大学に戻った。 医師としては、目の前の患者、その症状と治療法、個々のニーズに集中するよう訓練された。 しかし、公衆衛生学では視点を広げるよう求められ、患者個人でなく、より広いパターンを見る。 「どうやったらこの人を助けられるのか」から「どうやったら皆を助けられるのか」へと視点を変えるのだ。 そこで学んだ最初の教訓の一つを今でも覚えている。 「あなたの健康は私の健康に、私の健康はあなたの健康に依存している」というものだった。
当時は理論として理解しただけだったが、政治家に転身して、30年後、その教訓が現実となり、切実かつ個人的なものとなった。 新型コロナウイルスのパンデミックが欧州を襲った時、何百万人もの欧州市民が袖をまくり上げ、隣人を助けようとした。 欧州の人々は自身のコミュニティを守ったのだ。 パンデミック発生から最初の2年間で、欧州連合(EU)域内に10億回分のワクチンを届け、同時に、域外150カ国に14億回分を提供した。 私たちEUは世界最大のCOVID-19ワクチンの供給者となった。 このアプローチが私たちの責任だったのだ。 世界的なパンデミックを克服するために欧州が結束した結果、この慶應義塾大学名誉博士号を今日ここで、皆さんの前で受けることになった。 それは(先に述べた)公衆衛生学で最初の教訓の一つを学んだ時には、思ってもみなかったことだった。
(講演録の冒頭で、土屋大洋慶應義塾常任理事は、「医学・公衆衛生学の専門知識と経験を基盤にしながらも目の前に現出するさまざまな政策課題に果敢に取り組むフォン・デア・ライエン委員長の姿は、総合的な視点で政策を研究し、提言する大学院政策・メディア研究科の目指すところに合致するとの認識から、委員長来訪に際して同研究科から名誉博士号を授与することになった」と述べている。)
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