柳家蝠丸の「奥山の首」後半 ― 2025/11/10 07:11
そろそろ、治ろうかと思ってます。 浅草奥山の見世物小屋で、度胸試しの恐い物を募っていて、ウチの若い者もやっている、アッと驚く物を考えてみてくれないか。 この辺に仕置き場はありますか。 首がスッポーンと斬られた、無縁仏の墓参りに。 三本目の角を右に曲がって、まっすぐ行くと、千住の小塚原だ。 モク造、ちょいと行ってみるか、と出かけて、帰って来ない。
モク造、夜晩く帰って来て、一晩中ゴリゴリガリガリやっていた。 朝湯に行った。 若い者が、野郎はどんな仕事をしたんだろう、俺がろくろっ首をこせえたら、これはツルかと言いやがった。 石造、見て来いよ。 しばらくすると、ギャーーーア! と言って、階段を上から下へ落ちてきた。 石が落ちたから、ストーン! って行ったのか、石。 兄イたちも、あれ見て来い。 いっぺんに、また見たくなるよ。 見に行った留公も、ドッサーーンと、落ちてきた。 モク造、小塚原で拾ってきやがったんだ! 生首、生首、生首! 早口言葉じゃないか。 本当だよ、風呂敷を取ったら、生首が笑った。 わかった、俺が見て来てやると、棟梁が二階へ。 風呂敷をパッと取る。 すげえ仕事をする奴だ。 ただの大工じゃねえな。 この彫り方は、飛騨高山の左甚五郎だ。
モク造が、湯から帰って来た。 いい湯で。 それは、ようござんした、先生。 ドキッ! 二階のあれ、見たんですか。 拝見しました、モク造なんて言っていて、申し訳ない。 名前を出さずに、奥山の見世物小屋に出してくれないか。
「笑う生首」、大変な評判になる。 目印は、柱に出来損ないのツルが飾ってある所だ。 ご褒美は、おかみさんに渡しておくれ。 毎日シャケをご馳走になって、ビタミンDが豊富に摂れた。 生首は、棟梁、貰ってくれないかね。 胴がないから、床の間の置物にすると、皆びっくりする。 家宝に致します。 ご縁があったら、また面白い話をしましょう。
あっという間に、500年。 皆様、お馴染みの、なんでもお宝鑑定大会、オカチマチ。 代々大工の家で家宝と言って来た品物。 左甚五郎作、生首。 日光の眠り猫と同じ作者の、本物です、魂がこもっている。 面白いことを、見たり聞いたりすると、笑う。 実験しましょう。 「オロナイン頂戴」、「なんこう」。 「あなたはキリストですか」、「イエス」。 偽物かな? 中島誠之助先生、いかがですか。 本物です。 金賞か、銀賞。 生首が、首を持ち上げて、ドウが欲しい。
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