春風亭一之輔の「睨み返し」後半 ― 2025/11/13 07:08
エーーッ、借金の言い訳、しましょ! 借金の言い訳、しましょ! 呼んで来い、おっかあ。 ああ、寒ぶ。 ちょいと、こっちへ来てください。 押し詰まって参りまして。 どういうことになってんだい。 一時間二円で。 いくら来ても、追い返します。 おっかあ、古着持って、番頭んとこ行って来い、二円位何とかするだろう。 二円、頂戴します。 受取は出ない。 煙草盆を一つ、お二人は次の間に。 次の間がない。 では、押入でいかが。 ピシャッと閉めて、おしゃべり、咳などしないように。
米屋です、こんばんは。 米屋でございます。 (返事がないので、戸を開ける)開いた! アッ! (煙管を持って、黙って睨む)留守ですか? 昼間、おかみさんが夜分になったら、お届けしますって、言ってたんですけど。 米屋です。 ヘェーッ! 黙っていられると、どうにもならない、どこ、見てるんですか。 ウチの旦那が、必ず取って来いと、いうもんですから。 アッ、ワッ、ワッ!(物凄く怖い顔で、睨む) アッ、アッ! 米屋なんですけど、また来ます。 何も聞こえなかったけど。 ただ睨むだけ、睨み返す。
こんばんは、魚屋でございます。 (物凄く怖い顔で、睨む) ハッ! サヨナラ! 早すぎる。 雑兵、端武者で。
ごめん、ごめん! ホッ、ウッ! 違ったかな。 八五郎君宅だね。 斎藤氏から頼まれて、取り立てに来た者だが。 何だね、君は? おい! 聞いているのか? 煙管を持っているところを見ると…、何だ、その顔は? 面白い、僕を脅かそうとするのか。 僕は大日本愛国党赤尾敏先生の下で、三年の修業をした者だ。 と言うと、穏やかでないが、留守番の君と、これは話し合い、談合をしたい。 那須正刈という名だが、君の名は? 何で何故、そのような顔をしておるのか、君、失敬だぞ、僕ばかりしゃべっておる、馬鹿にすると承知せんぞ。 ボーーーッ! 帰りました。
時を過ごした。 まだまだ、来ますので、三十分、一円でお願いします。 いいや、駄目、ウチに帰って、自分のを睨みます。
実は、4列23番という前方の端の席で、一之輔の「睨み」が横顔しか見えず、まったく怖くなかったのが、残念だった。
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