「時事新報」今後の課題2007/05/30 07:49

 株式会社時事新報社は毎年7月に株主総会を開き存続している。 平成18 年7月10日の定時株主総会は第80回だった。 平成19年4月現在の発行済 み株式総数は150万株、その株主数424人、そのうち連絡の取れる株主数は 210人、約134万株だそうだ。 「時事新報」の今後の課題として、鈴木隆敏 さんは五つを挙げたが、その(2)がこの株主の変動と高齢化の問題で、それ は「時間との戦い」だという。 年に数件は(株)産業経済新聞社が引き取ら ざるをえない場合があり、その持ち株は50万株を超えている。

 課題の(1)は「時事新報」の復刊問題だが、健全経営体制を確立には問題 が多い。 産経新聞社には、その力はないというような話だった。 (3)「時 事新報」には社史がない。(実は、産経新聞にもないそうだ) (4)近年問題 になっている「時事新報」社説が福沢の執筆かどうかという件、分析や討論を 深めるべきだろう。 (5)「時事新報」マイクロフィルムの経年劣化対策。 慶 應義塾メディアセンター所蔵などのフィルムは、酸っぱい臭いがするようにな っていて、デジタル化が望まれるが、それには数百万から一千万円の経費がか かる。

 「時事新報」に興味を持たれた方には、『三田評論』4月号の特集「時事新報 125年」、若い研究者の都倉武之武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部専 任講師が慶應義塾大学出版会のホームページに五年計画で連載中の「時事新報 史」をお読みになることをおすすめする。

コメント

_ 松桐 ― 2007/06/02 02:36

時事新報に限らず、紙齢(1面に第何号と書いてありますよね。だいたい30年で1万号です。また、臨時に発行する紙面を「号外」というのはここに由来します)を絶たれた新聞というのはたくさんあります。
明治の御代に大阪で「滑稽新聞」という新聞を発行していた宮武外骨という御仁が、その晩年にこういう新聞をかき集めて、東大新聞研究所の土台を築きましたが、新聞の悲しいところはみな、紙面のままですと酸性紙の問題もあり、もろもろに成ってしまうのです。
マイクロ化というのももう時代には合わない保存手法です。せめて画像データで保存できればいいのですが、この当時の新聞は新聞の枠の外にまで印刷をしています(というのは、版を降ろした後、新しい話が入ってくると、それを欄外に突っ込んでいました)。簡単に画像化はできにくいのです。
いずれにせよ、日本の近代化に大きな役割を全国各地で果たしたであろう、新聞というものは、その大半が散逸してしまっているのが実情なのです。
たとえば、時事新報全盛期に同じく全国でも屈指の発行部数を誇った「横浜貿易新報」(今の神奈川新聞です)の創刊号は、飛驒高山の奥で見つかりました。生糸貿易の商業紙ということで全国に流通していたのです。
それと同様に、思いつくままにあげれば、やまと新聞、万朝報、都新聞(今の東京新聞になりますが)、報知新聞(今のスポーツ紙とは同じ題字ですが中身が違います)など、消えてしまった貴重な新聞は全国各地にあるのです。
今の時代、時事新報といっても復刊は無理でしょう。まず人がいません。新聞記者にとって題字というのはある種の気概を支えているものですから。たとえ、産経新聞がその休眠会社を持っていても、その気概を継ぐものでなければ、意味がないからです。
長々とコメントしましたけど、世阿弥のいう「家、家に非ず」なのです。

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