映画『マーリー』を観た ― 2009/04/23 07:08
映画『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』を観た。 とても 温かく、清々しい気持になって、TOHOシネマズ六本木を出た。 同じ時間に 観たのは、たった10人だったけれど。 単なる犬映画ではない。 エリザベ ス・テーラーとスペンサー・トレーシーの『花嫁の父』や、『一ダースなら安く なる』といった往年のハリウッドのファミリー・コメディの正統な流れを汲む 作品だった。 つまりは、時代の翳を映して、一捻りしなければすまなくなる 以前の、映画の作り方なのであった。 家族の成長の物語であり、そこに犬の 訓練所を退学させられるようなマーリーがいて、一役を果す。
ジョン・グローガンという新聞のコラムニストの本を映画化(デヴィッド・ フランケル監督)したものらしい。 ミシガンの雪の中でジョン・グローガン (オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)が結婚 するところから始まる。 ジョンは一介の記者で、ジェニーの方が名が知れて いるコラムニスト。 暖かいところを求めてフロリダの新聞社へ、ジョンはそ こで飼い始めたラブラドール・レトリーバーのマーリーとの珍騒動をコラムに 書いて成功する。 「抱腹絶倒だ」と言いながら、笑わぬ上司(アラン・アー キン)がいい。 友人の敏腕記者で、すぐ女性に声をかける独身のセバスチャ ンは、随所でジョンによいアドヴァイスをくれる。 犬を飼うことも、ジェニ ーにプレゼントを忘れないことも…。 ジェニーが流産し、夫妻はアイルラン ド旅行に出る。 マーリーとの留守番に雇われた痩せた娘の悪戦苦闘が笑わせ る。 二人の男の子が生まれ、ジェニーは仕事を捨てる道を選ぶ。 三人目は 女の子だった。
フィラデルフィア郊外の大きな家に越した日は、雪になり、グローガン一家 とマーリーは家の前でころげまわった。 ジョンが老犬になったマーリーと散 歩する草原の、丘の上の夕日がしみじみと美しい。 終盤、前庭の大きな木の 下に、マーリーを葬る時、二番目の男の子が手紙を読むところで、ゆるくなっ た涙腺からあふれてくるものがあった。 「天国でも、何か、かじるものがあ るといいね」
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