歴史人口学、地道な史料収集2010/07/10 06:53

 5日、第690回三田演説会、昨年文化勲章を受章された速水融(あきら)慶 應義塾大学名誉教授の「歴史人口学―出逢い、史料、観察結果、課題」を聴き に行った。 速水さんには、大学の一年か二年の時(1960年か1961年)に、日 本経済史を教わった。 2004年7月10日、小泉信三記念講座の「徳川日本へ の新しい視角」という講演を聴き、<小人閑居日記>7月17日「徳川時代の人 は背が低かった」、18日「「宗門改帳」を使った歴史研究」、20日「日本を分け る三つのタイプ」、21日「「宗門改帳」というもの」に書いていた。

 今回の講演で、「史料調査・整理」を説明するのに、36年前(1974年?)に 放送されたNHK市民大学講座のDVDが放映された。 同僚の西川俊作教授と 行った番組で、若き日の両先生、後にNHK副会長を務めた永井多恵子アナウ ンサーが登場した。 「宗門改帳」をマイクロフィルムに撮影するために、福 島市の福島県歴史史料館(会津の各村の史料)、岐阜県板取村の旧家(庄屋)を 訪ねて、作業する様子が映っている。(この市民大学講座は、のちにNHKブッ クス『江戸の農民生活史』1988年にまとめられた)

 速水融さんの『歴史人口学で見た日本』(文春新書)に、その後者、日本の先 進地帯である濃尾地方の史料収集について、次のように書かれていた。 「幸 いに東名高速道路が開通し、手伝ってくれる大学院生らと共に東京から車で走 っていった。夕方東京を出て、夜それほど遅くならないうちに現地に着いて一 泊し、翌日朝から活動を開始するということをよくやったものである。マイク ロフィルム撮影装置や高速道路などの近代設備がずいぶん研究に役立った。」  輪中地帯は水害地帯なのに、「宗門改帳」がたくさん残っていて、安八(あんぱ ち)郡楡俣(にれまた)村には制度が始まった寛永15(1638)年に作成され た、日本で一番古い「宗門改帳」もあった。 「史料がたくさんあることがわ かると、こちらもだんだん意欲が出て、五年間以上、休みというともっぱら史 料集めをやった。雪の日には、雪道で大学院生がみな車を後ろから押して、峠 を越えたりしながら史料集めをやったものだった。」

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